大手メーカーこそ要注意
建売住宅のうちおよそ8割は、筋交いや耐力面材の施工など、構造面に欠陥を抱えている。これは「建て売り」というビジネスモデルそのものからくる問題でもある。建て売りでは家の買い手は、建物が完成した後で初めて物件を見る。しかし構造的な問題は内外装で隠され、完成後に外から見ただけではわからない。ここに根本的な問題がある。
隠された構造的な問題が明らかになるのは、住宅を購入した人が、検査会社に検査を依頼した場合だ。建売業者はこのため、検査会社が介入することを嫌う。欠陥のない住宅が欲しければ、建築の過程から外部の検査会社を入れてチェックさせるべきだが、建て売りでは難しい。しかし最近は購入前に自ら検査会社に依頼する人も増えている。そうした場合、建て売りでは8割方の家に、構造上の欠陥が見つかるのが実態だ。
ただし検査会社の中には、建売業者と密接な関係のある業者がめずらしくない。そうした業者が検査し、「問題なし」という報告書を出した後で、当社が住人から依頼を受け、同じ物件を改めて検査したことがある。結果は、あまりにも欠陥がひどかったため、全面的に建て直し。検査と称して建築会社にお墨付きを与えているのが、建築業者と結びついた検査会社のやり方なのである。
最近は大手ハウスメーカーも開発業者(不動産業)として建売事業に進出している。しかし、大手といっても施工するのは地場の工務店なので、中小に比べてとくに品質がよいわけではない。むしろ大手の現場監督は、経験不足から施工業者に足元を見られているケースが多く、手抜きがあっても発見できないとか、見つけても強く指導できずに欠陥をそのままにしてしまう場合があるので、むしろ注意が必要だ。
よい立地に安価な住宅をつくるため、土地を小分けにして3階建ての建売住宅を売り出すケースもある。この種の建売住宅はとくに多くの欠陥を抱えている。悪質な業者は、3階建てであっても2階建てと同じ基準で建物を建ててしまうからだ。