2010年12月2日(木)

ボランティアって、暇だからやるものかと……

今、なぜ「世直しサラリーマン」が急増しているのか【4】

PRESIDENT 2009年10月5日号

著者
梶山 寿子 かじやま・すみこ
ノンフィクション作家/ジャーナリスト

神戸大学文学部卒業。テレビ局制作部勤務を経て、ニューヨーク大学大学院に留学し修士号を取得。新聞記者を経てフリーに。著書に『鈴木敏文のジブリマジック』『トップ・プロデューサーの仕事術』(日経ビジネス人文庫)、『スクール・アーティスト』(文藝春秋)など。

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ジャーナリスト 梶山寿子=文 川本聖哉=撮影
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<strong>NEC 佐久間玲子</strong>●CSR推進本部。1963年生まれ。CSRおよび社会貢献ウェブサイトの企画・制作を担当しながらボランティアで「ビッグイシュー」のメール販売員をサポートしている。
NEC 佐久間玲子●CSR推進本部。1963年生まれ。CSRおよび社会貢献ウェブサイトの企画・制作を担当しながらボランティアで「ビッグイシュー」のメール販売員をサポートしている。

「ビジネスマンの社会貢献」というと、CSR活動を連想する人もいるだろう。なかでもNECはCSR活動に熱心な企業だ。2008年、地域貢献活動に参加した社員は全世界で17万人にものぼる。

ところが、同社のCSR推進本部CSR推進室の佐久間玲子さんは、正直に告白する。「ボランティアって、暇だからやるものかと、漠然と思っていたんです」。大企業の社員にとって、社会貢献とはそれほど縁遠いものらしい。

佐久間さんの場合、1年前の異動で同社の社会貢献の情報発信を行うウェブサイトの企画・制作担当になったことが、認識を改めるきっかけになった。

2009年2月からは、自ら手をあげて、雑誌販売を通じてホームレスの自立を支援する「ビッグイシュー」のコミュニケーションサポーター役に。NECがホームレス販売員向けに開いているパソコン講座の受講生が、雑誌のメール販売を行う際、販売者と購入者の間に入ってサポートを行うボランティアである。

とはいえ最初は手探り状態。メールはおろか、ビジネスに不慣れな販売員の心情に思いが至らず、落ち込ませてしまったこともあるという。そんな失敗を経て、徐々にやりがいも芽生え始めた。「ホームレスといっても、実際にお会いすると本当にマジメでやさしい方ばかり。私のほうが、気づきをもらっています」。

<strong>NEC 岩城善広</strong>●1975年生まれ。モバイルターミナル事業部主任。携帯の商品戦略を練る際に必要な市場調査の技術を活かしてボランティアで鎌倉市の行政評価に携わる。
NEC 岩城善広●1975年生まれ。モバイルターミナル事業部主任。携帯の商品戦略を練る際に必要な市場調査の技術を活かしてボランティアで鎌倉市の行政評価に携わる。

一方、同じNEC社員でも、33歳の岩城善広さん(モバイルターミナル事業部)はかなり違った価値観を持っている。05年から、居住する鎌倉市の行政評価を行う「市民評価委員」として活動しているが、「社会貢献という言葉はあまり好きではない。自分の家をきれいにするのと同じように、鎌倉市を、会社を、社会全体を良くしたいんです」と話す。

人生全体で捉えると、プライベートと仕事は不可分。行政評価を通じて知った世の中の変化は、携帯電話の商品企画という仕事に活かせる。逆に、仕事で培った情報分析力や提案力は行政に活かせる。

自分や家族のことを考えるように、世の中や会社のことを考えるのは当然――そういう発想を持つようになったのは地域の活動などに積極的だった祖母や両親の影響が強いという。07年にギラン・バレー症候群を発症し、2カ月間寝たきりになったことも、生きることの意味を問い直す契機になった。

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