いまやネット通販で買えないものはない。「これは無理だろう」と言われてきた商材すら呑み込みつつある。とりわけ、勢いに乗る「勝ち組」のビジネスモデルには、「リアル」との連携という共通点があった──。

バブル世代から支持。カタログ通販の女王

ドゥクラッセの林恵子社長/1959年生まれ。津田塾大学卒業後、米国へ留学。広告会社勤務などを経て85年に帰国。外資系アパレルブランドの日本支社長などを経て、2007年に起業。

実店舗のブランドを活用して、ネット通販に進出する企業が相次ぐなかで、カタログ通販から実店舗に打って出た企業がある。40~50代の女性から支持を集めているアパレル企業ドゥクラッセだ。創業6年で会員数は110万人、年商約100億円にまで成長させた社長の林恵子は、「何を考えているんだ、ってよく言われます」と笑う。

創業は2007年。外資系大手通販アパレルの日本支社長の経験がある林は、同世代の女性が着る服がない、と日本の婦人服市場に不満を感じていた。

「ファッションは20代向けが中心で、残念なことに年を重ねると似合う服がなくなってくるんです。それでも着たいと思える服は、大体が高価なもので、不景気だとなかなか手が出ない。バブルを体験しているミドル層の女性から、そうした不満を聞いていました」

ヒット商品の「裾レース・リネン・チュニック」。麻とレースを組み合わせた。

テーマはトレンドを取り入れながら、ワンサイズ細く見える洋服。起業時の社員は4人。コスト管理を徹底し、自宅のガレージに机を置き、服を並べた。高級ブランドに負けない品質で、頃合いの価格。予想通り、女性たちから絶大な支持を受け、初年度から3億円を売り上げた。その一方、3年後には本社併設の直営店、その翌年には日比谷の商業施設に2号店をオープンさせている。なぜカタログ通販が好調な中で、あえてコストのかかる店舗経営に挑戦するのか。林社長は話す。

「ネットの世界では、商品の単品検索よりブランド検索のほうが圧倒的に多い。つまりアパレルの世界で生き残るには、ブランドが絶対に必要なんです。そしてブランドのために欠かせないのが実店舗の存在。ディスプレーや接客、試着など、3次元の体験を通してブランドの顔がつくられるんです」

現在、売り上げの構成比はカタログ通販が50%、ネット通販が25%、店舗が25%。この数年は実店舗の出店を加速させており、現在は全国で17店舗を展開。将来的には店舗の売り上げ比率をトップに据えようと目論む。

ドゥクラッセ
●40~50代の女性がメーンターゲット
●トレンドを取り入れながら、ワンサイズ細く見える服
●カタログ通販50%、ネット25%、店舗25%