仕事の効率を上げる答えは脳にある。脳のポテンシャルに大きく関わるストレスや睡眠、運動などをどうコントロールするか。3人の脳科学者に聞いてみた。
部下への指示と会議の生産性
チームで仕事を進めるときの効率アップ法を教えていただこう。
部下は平等に扱うな、と内田直教授は断言する。「部下の特質に合わない仕事をふることと、仕事の目的を部下が理解していないこと。この2つは効率を著しく下げます。誰にでも得意不得意はありますから、それぞれの特質を知って上手に活かす。ただし、これにはこまやかなコミュニケーションが前提となりますが」。
澤口俊之教授は2つのポイントを挙げた。
「ひとつは役割分担を明確にし、ひとつの仕事は一人にまかせることです。誰かと組むとどうしても相手に頼り、力を発揮しなくなるという脳の特性があります。もうひとつ。部下をほめるときは成果ではなく努力をほめること。努力をほめれば成果にかかわらず努力を続けますが、成果をほめると成果が落ちたときに不安になり、失敗したくないので言われたことしかやらなくなってしまいます」
さらに重要なのは上司と部下の信頼関係。信頼する上司の指示命令ほど、部下は能力を発揮するのだ。
また「ダメな会社ほど会議が多い」とはよく耳にするが、脳科学者たちは「会議を効率化するコツがある」という。
「会議の目的によって時間帯やスタイルを変えてみるといい」と澤口教授。
「問題を解決するための会議なのか、問題を見つけるための会議なのか。まずは目的をはっきりさせること。前者の理詰めの会議は脳がフレッシュな午前中が効果的。ほかにも上司の方針の表明、徹底を図るようなものは午前中にしたほうがいい。後者のクリエーティブな会議は、事務作業が一段落した午後がよいでしょう」
ちなみに理詰めの会議の場合、イスは硬いイス。できれば、ざらざらした感触のクロスなどを触りながらだと理性を働かせる領域が刺激されるという実験結果があるそうだ。