仕事の効率を上げる答えは脳にある。脳のポテンシャルに大きく関わるストレスや睡眠、運動などをどうコントロールするか。3人の脳科学者に聞いてみた。

3つ以上になるとそれはもう「たくさん」

「名前が出てこない、名刺を見ても顔が思い出せない。大人になって記憶力が悪くなったと嘆く方がいます」

篠原菊紀教授は、それは覚えた気がするという錯覚にすぎないという。

「記憶力の向上はインプットとアウトプットを繰り返すしかない。キャバクラ嬢が何人もの客の顔と名前を覚えているのは、仕事のあとに名刺を整理し、相手に応じて内容を変えたメールを打ち、お誘いの電話をするというアウトプットの努力を日夜しているから」

子どもには予習復習をしっかりと言っておきながら、大人になるとどうしてもおろそかにしがち。もちろん単純記憶ですむ仕事は少ないが、内田直教授もスポーツ界ではすでに定着しているイメージトレーニングがビジネスシーンでも応用できると述べる。

「口に出したり、紙に書いたり、アクティブなトレースをすることで情報は脳に定着されます。特にプレゼンなどは相手の反応を何パターンか想定しながらリハーサルすることで、不安にならず、落ち着いて本番に臨めます」

復習が大切とはいえ、時間は限られている。一度しか復習できないとしたらいつが効果的か、という実験結果を紹介してくれたのは篠原教授。「記憶してから本番までの期間を6分割した最初のあたり」での復習が最も効果的なのだとか。