2014年6月24日(火)

それ、人材のムダ遣いです

働き方のリアル ベンチャー篇【13】スローガン 伊藤 豊

PRESIDENT Online スペシャル

著者
稲泉 連 いないずみ・れん
ノンフィクション作家

稲泉 連

1979年、東京都生まれ。2005年、『ぼくもいくさに征くのだけれど』で大宅壮一ノンフィクション賞を史上最年少で受賞。その他の著書に『仕事漂流』『復興の書店』など。

執筆記事一覧

稲泉連=インタビュー・構成
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スローガン 伊藤 豊
1977年生まれ。東京大学文学部卒業後、日本IBMを経てスローガン設立。同社代表取締役。

「スローガン」が行っているのは、大学生や若い人材とベンチャー企業をマッチングさせる就職支援事業です。

私が会社を立ち上げたのは2005年のことなのですが、実際に採用の現場で多くの人たちと接していると、この7、8年で若者の企業に対する視線もずいぶんと変わったなと思います。

例えば、東京大学を卒業した学生が楽天やDeNAを就職先に選ぶのは、いまではまったく自然なこととして捉えられていますよね。楽天グループの社員数は約1万人、DeNAは2000人強。いずれも誰もが認める大企業です。でも、つい5年ほど前に遡れば、ちょっと固い親なんかには反対されたり、「大丈夫なの?」と周囲から思われたりする選択だったわけですよ。

インターネットの黎明期の起業だったということもあるにせよ、10年足らずで親世代すら認める大企業へと成長したという事実は、ある種の高学歴層の就職観の根底を変えつつあると私は感じるんです。今の学生たちから見れば、会社が10倍、20倍と大きくなっていくフェーズを一回り上の先輩が担っていたわけですから、自分も同じような体験を社会に出てしてみたいと考えるのは不思議ではありません。

一時期、メーカーに代表される日本の有名企業の業績が縮小していく中で、高給を取れる外資系金融やコンサルティング会社への就職が「優秀な学生」の間で流行りました。でも、それらも結局は「日本支社」への就職でしかなく、事業を創るというキャリアではないという現実を踏まえると、意識の高い学生にとってどちらがより希望に満ちているように見えるか――。

そうした時代の中で育ったことで、昔であれば一直線に大企業へ就職したような学生たちの中に、「5年前のDeNA」や「社員数100人の頃の楽天」を探そうとする人が増えてくるのは自然な流れだと考えています。

それからベンチャーの界隈では最近、採用のキャッチコピーとして「何をやるかではなく、誰とやるかだ」という呼びかけがよく使われていますよね。「尊敬し合える仲間と一緒に働けるとことが大事であって、何をやるかは時代ごとに変わってくる」という仕事観。良いチームに所属することが自分を高め、キャリアをつくる上で大切だという考え方はベンチャーとの親和性が高いわけです。これも入社後にどの部署で誰と働くのかがわからない「配属リスク」のある大企業に対する一つのアンチテーゼですよね。

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