2014年7月3日(木)

会社に振り回されない生き方

働き方のリアル ベンチャー篇【15】スローガン 黒田悠介

PRESIDENT Online スペシャル

著者
稲泉 連 いないずみ・れん
ノンフィクション作家

稲泉 連

1979年、東京都生まれ。2005年、『ぼくもいくさに征くのだけれど』で大宅壮一ノンフィクション賞を史上最年少で受賞。その他の著書に『仕事漂流』『復興の書店』など。

執筆記事一覧

稲泉連=インタビュー・構成
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スローガン 黒田悠介
1985年生まれ。東京大学卒業後、ドゥ・ハウス、サイバーマーケティングを経て2013年、スローガン入社。現在、開発部門グループマネジャー。

僕は昨年8月にジョインしたこのスローガンが、大学を出てから数えて3社目になるんです。

これまで勤めてきた会社は全部ベンチャー企業なのですが、振り返ると企業を選ぶために重視することはその度に変化してきましたね。最初に入ったドゥハウスという100人くらいの会社のときは、単に「なんか面白そうだな」と感じたのが理由でしたし、2年後に転職したゴルフ場の予約サイトをつくっているサイバーマーケティングという会社は、「とにかく人数の少ない会社に行こう」と思って探したんです。

例えばドゥハウスでは「100人前後」を条件にした一方、サイバーマーケティングを見つけたときの人材会社の検索条件は「20人以下 新規事業 IT」というもの。当時はミッドタウンのレジデンスにオフィスがあり、社員は全員が中途で10人もいない小さな会社でした。

どうして僕がそうした選択をしてきたかというと、学生時代から自分の介在価値がいちばん高くなる会社に行きたい、と考えてきたからです。

就職先を考える上で「介在価値」なんて視点を最初から持っていたのは、強いて言うなら大手の都銀に勤めていた父親の働き方を見てきたからかもしれません。昔ながらの大手企業の働き方、っていうんですかね。私が寝る前に会社に行って寝た後に帰ってくるから、父とはあまり話す機会もありませんでした。仕事一筋で家にはほとんどいなくて、オフの日はオフの日で今度はまったく仕事の話を家に持ち帰らない、という人でしたね。

いま私自身が家族を持ってみて少し捉え方も変わったのですが、若い頃は父親が大企業の決めたルールに振り回されて生きているように見えたんです。母親も少し寂しそうだったし、そういう働き方って本当に幸せなのかなと素朴に疑問でした。だから、大学生になっていざ自分が社会に出ることになったとき、少しでも早く組織を変えていける立場として仕事にかかわりたいと思い、それが「介在価値」という言葉になったんです。俺は会社や社会に振り回される生き方はしないぞ、って。

ドゥハウスを面白いと思ったのは、「全員起業家たれ」という社訓があったからでした。何でも、もともとの名前は「ドゥタンク」で、シンクタンクに対するアンチテーゼだったらしいんです。考えるだけではなく、自分たちは行動するんだっていうメッセージ。ただ、タンクという語感がイケてないということで、事業家が集まる家みたいなイメージでハウスにしたということでした。

なので、ドゥハウスでは「入社」とは言わず、どこまでいっても「エントリー」という表現にこだわっていました。その価値観が面白いなと感じて、ほかのところはあまり検討せずに入っちゃったんですよ。事後報告したときは親も最初は驚いていましたが、最後には応援してくれたので嬉しかったです。

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