2014年6月25日(水)

「誰かに認められたい」が部下のモチベーション

PRESIDENT 2014年5月19日号

著者
横田 雅俊 よこた・まさとし
カーナープロダクト代表取締役

横田 雅俊

長野県生まれ。設計士として活躍後、外資系ISO審査機関にて営業職を経験。最年少、最短、最高記録を更新し、世界8カ国2300人のトップセールスになる。営業に特化したコンサルティング・トレーニングファームとしてカーナープロダクト設立。近著に『1000人のトップセールスに学ぶ「売れ続ける会社」の営業法則』、『営業は感情移入』。

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カーナープロダクト代表取締役 横田雅俊 構成=村上 敬
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上司と部下の職業観が大きくズレている

一生懸命に指導しているのに、なぜ部下は変わらないのか。何を言っても響かない部下を見て、このように悩んでいるマネジャーの方は多いことと思います。しかし、それはお互いさまでもあります。じつは部下の側も上司に対して、自分はこんなに頑張っているのになぜわかってくれないのかと、もどかしい思いを抱いています。

私たちは営業のコンサルティングで、上司と部下の両方からヒアリングを行う機会があります。最近数多く目にするのが、次のようなパターンです。上司にヒアリングすると、「部下はやる気がない」「ゆとり世代で使えない」と不満が次々に噴出してきます。しかし、部下に直接会って話を聞いてみると、素直で明るく、けっしてやる気がないようには見えない。一方、部下は上司について、「考え方についていけない」「叱咤激励がつらい」と数多くの不満を抱いています。このように、上司も部下も双方が前向きに取り組んでいるのに、どうも思いがすれ違い、組織としてうまく機能していないケースが頻発しているのです。

どうして上司と部下がかみ合わないのか。そうした問題意識を持ってコンサルティングしていくうちに、「かみ合わない原因は、仕事のやりがいやゴールのイメージが違うからではか」という仮説にたどりつきました。根本的な職業観が異なっているため、お互いに山頂目指して努力していても、そもそも登る山が違っており、ズレが生じるのではないかと考えたのです。仮説を検証するため、上司層300人(40~50代の中間管理職)と、部下層300人(20~30代)の現場で顧客を持つ営業マンにアンケート調査を行いました。その中で「仕事に何を望みますか」と質問したところ、上司と部下の職業観の違いが浮き彫りになりました。

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仕事に何を望みますか

上司世代の1位は「やりがいや達成感」。以下、「出世、役職、ポジションの獲得」「生活の基盤づくり、給与アップ」「自社の事業成長の実感や、自社への貢献」「顧客からの評価や感謝」と続きます。一方、部下世代の1位は、「顧客からの評価や感謝」。以下、「社内での存在価値や役割」「仲間や家族からの評価」「社会貢献」「出世、役職、ポジションの獲得」です。

2つを比較すると、上司と部下の職業観の違いは鮮明です。いまの部下世代が仕事に求めるのは、出世やお金より「承認」だということがわかります。顧客、社内、仲間と評価する主体が違うものの、部下の上位にはいずれも「仕事を通してまわりに認められたい」という回答が並んでいます。「顧客に評価されたい」がようやく5位に入る上司世代とは、じつに対照的です。

一方、上司のほうはまわりからの評価より、自分の「やりがいや達成感」を重視します。極論すれば、まわりの評価よりも、自分のやりたい仕事や目標達成ができれば、それで満足できる。部下世代が組織での存在意義や承認欲求を重視するのと比べて、上司世代は自律的、自己実現重視といえます。

このように職業観が異なれば、上司と部下がかみ合わなくなるのは当然でしょう。上司が「自分のやりたいようにやれ」「そんな成績じゃ出世できないぞ」と叱咤激励しても、そもそも部下は自己実現や出世、お金に関心が薄いため、言葉が胸に刺さらないのです。上司が熱意を込めれば込めるほど、かえって部下を戸惑わせることになりかねません。

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