新緑が眩しい季節となりました。5月は多くの職場で、新入社員研修を終えた新人が、現場に配属され、OJTが始まる時期でもあります。新人教育担当、OJTトレーナーを任され、若さが眩しい新人を前に、「いったいどうやって育てていけばいいんだ」と戸惑っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、新入社員に対するOJT指導の際に参考になりそうな、いくつかのポイントをお伝えしたいと思います。

まず、一番大切なポイントは、「目の前の新人をよく見る」こと。イマドキの新入社員の傾向として、「ゆとり世代で、言われたことしかしない」「コミュニケーション力が乏しい」「飲み会に参加しない」「ちょっと注意するとすぐに心が折れてしまう」……など、いろいろなことが言われます。

確かに若い世代に共通する傾向もありますが、まずは一旦、ステレオタイプな思い込みは全部忘れ、目の前の新人と向き合うことから始めてください。相手がどんな人なのか、今どんな状態なのかを観察し、知ることは、子どもから大人まで、育成の基本です。

特に最近の組織研究では、人を育てる際、「教える側と教えられる側、双方の努力が必要だ」ということが言われています。これまでは、「新人に対してどのように教えるか」「どうやって組織に適応させるか」など、“教える側”ばかりにスポットが当てられてきました。しかし、最近は「新人はいかにして自分から職場のメンバーと協力して仕事ができるようになるのか」など、“教えられる側”のアクションについても研究が進み、その重要性が認知されるようになってきたのです。

2人の新人に同じ教え方をしても、同じように成長するわけではありません。育成には“教える側”だけでなく、“教えられる側”の努力が不可欠。その努力を引き出すためにもまず「目の前の新人をよく見る」ということが大切です。

学校では、誰にでも均等に教育を提供します。しかし、社会では見どころがある人にだけ支援が提供されるのです。誤解をしている新人がいたら、まずはしっかりとこの点を理解させましょう。