2014年5月9日(金)

仕事で先が見えないときの踏ん張り方

しごとの未来地図

PRESIDENT 2014年5月19日号

著者
遠藤 功 えんどう・いさお
早稲田大学ビジネススクール教授 ローランド・ベルガー会長

遠藤 功早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士。三菱電機、米系戦略コンサルティング会社を経て現職。良品計画社外取締役、ヤマハ発動機社外監査役も務める。主な著書に『現場力を鍛える』『見える化』『新幹線お掃除の天使たち』など。

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早稲田大学ビジネススクール教授 ローランド・ベルガー会長 遠藤 功 写真=Getty Images
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個人の力だけでは大仕事はできない

写真=Getty Images

本棚の整理をしていたら、古い日記が出てきた。私はここ20年間、1日も欠かさず3年連用日記をつけている。書くスペースは限られているので、日記というよりもその日にしたこと、感じたことを簡単に書き記す記録に近い。

何気なく手にしたのが15年ほど前の日記帳だった。ある日の記録に目を通すと、「仕事がとれず悶々とする。頑張ろう!」と書いてある。その前後の日々を読んでも、「残念ながら失注。これは痛い」「先が見えない。大変だが今が踏ん張り時だ」などと暗いコメントばかりが続いている。いつの間にか本の整理は忘れ、古い日記を読み返していた。

薄くなりかけた鉛筆の文字を見て、当時の記憶が沸々と蘇ってきた。その頃、私はある外資系コンサルティング会社に請われて転職した1年目だった。パートナー(共同経営者)として入社し、新しい仕事(プロジェクト)をクライアントから受注することを期待されていた。

経営コンサルタントはクライアント企業がよりよい方向に進むために第三者の立場で客観的な助言、支援を行うという役割を担っている。しかし、コンサルタントとして付加価値を出すためには、まずは仕事を受注しなければならない。

それまで勤めていたコンサルティング会社も外資系だったが、情報システム構築も手掛けており、パートナーの数も多く、組織の陣容もはるかに大きかった。監査法人系のコンサルティング会社から独立したという経緯もあり、監査法人との協力関係もあった。

組織力のあるそのコンサルティング会社に勤務しているときには、仕事がとれずに苦労したという経験はほとんど記憶にない。特段の努力をしなくても仕事の引き合いや紹介があり、よい提案書さえ書けば仕事がとれた。

今から思えば恵まれた環境だったが、40歳そこそこの私は物足りなさを感じていた。「こんな生温い環境では、力がつかない。もっと自分を鍛える場に身を置こう」と考え、私は転職を決断した。組織の力に頼ることができずに苦労することは覚悟の上だった。

しかし、現実は自分が想定していた以上に厳しかった。引き合いもなければ、紹介してくれる人もいない。「個人商店」がいかに大変であるか思い知らされ、自分の力のなさに悶え、うろたえた。

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