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立法院長 王 金平(おう・きんぺい)
1941年、台湾・高雄生まれ。台湾師範大学理学部卒業。75年立法委員(国会議員)に当選。99年に立法院長に選出され、現在4期目。


 

3月18日、サービス貿易協定の発効に反対する台湾の学生たちが、台北の立法院(国会)を占拠した。「ひまわり学連」だ。

サービス貿易協定とは、台湾と中国の間で相互市場開放を目指すもので、経済融合のみならず、台中トップ会談とそれに続く平和協定という統一シナリオへの重要な布石とみられている。学生の反対運動にどう対応するかを決めるカギは、馬英九総統だけでなく、因縁のライバル、王金平立法院長も握っている。今回、王氏はひまわり学連を「強制排除しない」と温情的な判断をして事実上後押し。学生を流血沙汰で強制排除した江宜樺行政院長や馬総統の「冷血」と、差を際立たせた。

王氏は1999年から立法院長(国会議長)を続けている政界のドン。李登輝政権時代の有能な右腕であり、李登輝派とも呼ばれる本土派の筆頭だ。「馬英九には友がいない。王金平には敵がいない」といわれるほど、その人脈は党派を超えて広い。「タヌキ」「徳川家康よりも徳川家康的」といった老獪な人物という周辺評も。

一方で、汚職の黒い噂をまとい、国民党利権政治の典型とも言われる。2005年の党主席選挙では対抗馬の馬総統(当時台北市長)に汚職疑惑を突かれて惨敗。以来2人は犬猿の仲に。サービス貿易協定の審議が膠着したのも王院長の影響とみられ、昨年9月に馬総統は王院長排除(党籍剥奪)の政争をしかけた(9月政争)。だがこの稚拙な政争は王院長に軍配が上がり、馬総統の支持率は9%に低下した。

舞台裏では、9月政争に続く馬・王政争第2ラウンドが始まっている。その結果が今年の首長選挙、立法院選挙、ひいては馬政権の命運、台中関係、そして東アジア経済や安全保障に影響していくだろう。