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内閣府特命担当大臣 甘利 明(あまり・あきら)
1949年、神奈川県生まれ。72年慶應義塾大学法学部卒業後、ソニー入社。74年、父・甘利正氏秘書。83年衆議院議員に初当選し、その後労働大臣、経済産業大臣などを歴任。2012年12月より現職。


 

焦点のTPP交渉では陣頭指揮をとる。今ではすっかり安倍政権の大参謀だ。二世議員だが、敵味方、損か得かを敏感にかぎ分けながら生き残ってきた。かつて自民党の金権体質に反旗を翻した新自由クラブから83年に初当選。86年の解党で自民党に入党し中曽根派に所属。派内で将来を嘱望されていた山崎拓氏に接近し、98年、山崎派の結成に参加。

ところが2005年末、小泉政権も終盤となり、小泉側近だった山崎氏の影響力も弱まると見るや、世代交代を訴えて派閥の跡目を譲るよう直談判した。山崎氏に激怒され、06年の総裁選では安倍晋三氏を担いだ。安倍氏には恩義があるそうだ。小泉政権下で衆議院予算委員長に就任できたのは、当時、幹事長代理だった安倍氏が、ポストに恵まれない甘利氏に配慮してくれたお陰だとか。「長年の親分よりポストにつられる」と批判されたが、その後、安倍氏を支え続け、政権の復活に貢献した。

その一方で、自らも虎視眈々とトップを狙っている。実は、前回の総裁選では出馬を考えた。政策集団を立ち上げて準備を進めていたのだ。ところがたったの20名程度。しかも、カネとポストを配分できない今の派閥の宿命だが、あまりにも結束力が弱い。他派閥とかけもちの二股議員がほとんど。「甘利が総理だなんてありえない」と言い切るメンバーもいる。

「次の総理を狙う男」と冗談半分にささやかれて、その気になったようだが、政治家としての魅力、求心力という点では、まだまだお寒い状況だ。「総裁選に出たい」と真顔で周囲に語った甘利氏の姿は喜劇でもある。

去年末「舌ガン」を患い、「人生観が変わった」と周囲に語った。この際、身の丈に合った将来を冷静に見つめ、慧眼の士となることを期待する。

(時事通信フォト=写真)
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