2014年4月18日(金)

女性が嫌いな宣伝コピーの見本とは

ビジネス攻略のウラ技

PRESIDENT 2012年12月17日号

著者
尾形 真理子 おがた・まりこ
博報堂 コピーライター

尾形 真理子1978年生まれ。2001年、博報堂入社。主な仕事に、資生堂、LUMINE、日産自動車など。朝日広告賞グランプリ受賞。10年には『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』で小説デビュー。

博報堂 コピーライター 尾形真理子 構成=大宮冬洋
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客観的な数字じゃ女は動かない!

「自分をもっと愛せるように、まずはみんなに愛してほしい。」

もしこの文末が「愛されましょう」だったら、どんな印象を持つでしょう。私なら、「なぜそんなことを企業に言われなければならないの」と嫌な気持ちになります。

冒頭の文はファッションビルLUMINEの広告コピーとして書いたもの。文末をあえて一人称にしたのは、本音をつかんでいれば読む人はその企業にむしろ好感を持ってくれるという思いがあったからです。

女性にとって大切なのは、共感して「自分ごと化」できるかどうか。上から目線の乱暴な言葉は嫌われます。

でも、すべての命令口調がいけないわけでもない。例えば、資生堂の化粧品「インテグレート」に書いたコピーでは、「ラブリーに生きろ」と命令形にしています。

このブランドのターゲットは、大人のガーリーを楽しむ女性。自分の年ではちょっと可愛すぎるかも……。そんなふうに迷っている人に強く言い切ることで、「いくつになっても女子の遊び心を持っていたい」というメッセージを受け取ってもらいたいと考えました。

押すべきか引くべきか。広告の意図によって、選ぶ言葉は変わります。変わらないのは、ミットがないところにボールを投げてはいけないという原則だけです。

誰もが尊敬する人のつくった言葉ならば、どこに球を投げても受け手がありがたがって拾いに行きます。でも、普通は自分が投げると同時に、受け手のキャッチャーミットを用意しなきゃいけません。

キャッチャーミットとはつまり、自分に関係があると思えるポイントのこと。相手に自分ごと化させるために、私は微細な時代の空気をつかむことを意識しています。

政治、経済、文化……世の中の出来事に、女性も男性と同じように左右されます。ただ、反応は世代や性別によっても微妙に違う。その違いを丁寧に見ていきます。例えば同じ龍馬ブームでも、50代の男性ファンなら「それに比べて今の若者は……」と問題提起した人が多いかもしれないし、30代の未婚女性には「男は見かけによらないな」と自分の周囲を再確認する人もいたかもしれません。

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