2013年9月11日(水)

表情だけで相手の心を動かせるか

PRESIDENT 2012年12月17日号

著者
上田 彩子 うえだ・さやこ
心理学博士、理化学研究所研究員

上田 彩子1981年、東京都生まれ。理化学研究所研究員。顔認知に関わる実験心理学的研究を行う。著書に『「恋顔」になりたい! 愛される顔にはルールがある』『ヒトのココロの不思議がわかるココロ学入門』など多数。

心理学博士、理化学研究所研究員 上田彩子 構成=堀 朋子
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「初対面なのになぜか自分のことをペラペラと話してしまった」

そんな経験はきっと誰もがあるでしょう。「相手がほめ上手で会話術に長けていたから」と思うかもしれませんが、その要因は実は相手の表情にあるのです。

相手の言葉や考え方を頭で理解して心を動かされるよりも先に、表情を見た瞬間に脳が「心を許してよし」「信じてよし」と判断したのです。そのとき相手はどんな表情をしていたか。おそらく笑顔だったはずです。笑顔をされて嫌な人はいませんよね。にこやかな表情は相手の気分をよくさせる効果があり、そのプラスのエネルギーが話し相手にも波及します。

そもそも、なぜ笑顔という表情に人間は惹かれるのでしょうか。ヒトの脳には、欲求が満たされたとき、あるいは満たされるということがわかったときに反応する報酬系という神経があります。

例えば「一杯ご馳走するよ」「おこづかいをあげるよ」など、ご褒美をもらえるとわかると、心が弾み、顔には自然と笑みがこぼれます。これこそ報酬系が働いた証拠。

商品を売るときに、笑顔のほうがよく売れるのは、販売員の笑顔に「ご褒美をもらった」とお客の脳が反応し、それが目の前の商品への高評価にもつながる「感情プライミング」が発揮されたから。

そして、この報酬系をフルに活用しているのが赤ん坊。赤ん坊は母親が笑顔の場合は「やっていいこと」、怒った表情をした場合は「やって悪いこと」と判断する。つまり人間は言葉の通じない乳児の頃から相手の表情を見てコミュニケーションを図ってきたのです。

では、人の心をポジティブに変える表情をいかにしてつくるか。実はこれが案外、簡単なのです。

口角をキュッと上げるだけ。口角が上がると表情筋が動き、頬の筋肉が前に張り出し、目じりが下がります。これだけで相手の報酬系を刺激するポジティブ顔になります。女性はメークで顔を作り込むことができますが、男性はそうはいきません。その分、この口角上げを意識するといいでしょう。

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