「秘密」「限定」「永遠」――1993年7月、日本政府が韓国で行った元慰安婦16人に対する聞き取り調査の報告書にはそう明記されていた。当時の自民・宮沢政権は、報告書の閲覧を日本政府幹部の一部に「限定」、国民には「永遠」に「秘密」にすると決めたのだ。今年に入り、産経新聞などがその内容を報じてきた。報告書を見た官邸関係者が話す。

「16人から聞き取りしたのに、報告書はわずかA4判13枚。元慰安婦1人につき1枚にも満たない。聞き取りの内容もお粗末。フルネームがわからない元慰安婦の証言が複数あり、慰安婦の半数の生年月日が不明で大半は出身地も不明。証言の中身も矛盾だらけでした」

証言した元慰安婦の中には、日本政府を相手取り損害賠償請求訴訟を起こした人も。元慰安婦側は裁判で、幼いときに養女に出され14歳からキーセン学校に通い、17歳のときに金儲けができると言われ金泰元という養父に連れられて中国に渡ったが、将校の案内で行った中国人の家の部屋で監禁された、と自分の生い立ちを説明していた。「ところが報告書には、17歳のときに、少女供出の噂が広まったので養父と満州方面に逃げたが、北京で将校風の軍人に強制連行された、と書いてありました」(同前)。

こんなお粗末な報告書にもかかわらず、宮沢政権は裏付け調査すら行わず、93年8月4日、報告書に基づき、河野洋平官房長官はいわゆる「河野談話」を発表。元慰安婦の強制連行を認めて謝罪した。

「談話作成に際し、政府は韓国政府と何度も摺り合わせをし、韓国側の要請に従い文言を改めた。外交音痴の宮沢喜一首相は、“物質的補償を求めない”とする韓国側説明を鵜呑みにして強制性を認め、謝罪したのです。その発表翌日に宮沢内閣は総辞職し自民党は下野。まともな検討もせぬまま出したこの談話は、韓国の対日外交の切り札として繰り返し使われ、日本の信用を失墜させている」(同前)

安倍晋三首相は米国が韓国側に理解を示していることに配慮し、「談話の見直しは考えていない」とする一方、菅義偉官房長官は談話作成の経緯を検証する構えだ。「4月下旬に来日するオバマ大統領の帰国後に“元慰安婦の氏名不詳は何件”程度を発表。談話見直しを求める日本国民の世論の盛り上がりを待つことに」(同前)。すでに一部媒体の世論調査では約6割が談話見直しを求めている。