2013年12月3日(火)

「無人運転」の実用化で世界はどう変わるか

PRESIDENT 2013年12月16日号

著者
山形 浩生 やまがた・ひろお
評論家、翻訳家

山形 浩生1964年生まれ。東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻およびマサチューセッツ工科大学不動産センター修士課程修了。大手調査会社に勤務するかたわら、翻訳、執筆活動を行う。著書に『新教養主義宣言』『要するに』、訳書にバロウズ『ソフトマシーン』、クルーグマン『クルーグマン教授の経済入門』など。

答える人=山形浩生(評論家、翻訳家)
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「自家用車」が消え「交通サプライ」へ

自動運転は、昔から交通工学の夢ではあった。昔から各種のSF映画を見ても、自動運転の車が行き交うのは未来都市のイメージの1つの典型となっている。そして、それを正当化する理由もたくさんある。

人間のミスが引き起こすトラブル――ほとんどの事故や渋滞――はなくなるはずだ。渋滞を引き起こす無意識の速度低下もなくなる。車に伴う大きな問題である駐車は、運転手がいなければ車が動けないために発生するものだ。でも車が勝手に動けるなら、運転手が仕事でも買い物でもしている間、車は自分で遠い駐車場に勝手に移動して、呼び次第戻ってくるようにできる。駐車問題も大幅に緩和されるだろう。そして人々は、運転という気疲れする作業から解放されて移動時間を有効に使えるようになる。これが全面的に導入されれば、GDPの1~2%くらいはメリットがあるはずだ。

グーグルの自動運転カー。2012年8月時点で12台が合計30万マイル(約48万km)を無事故で走行したと発表している。

だから何度もそれを実現しようという試みは世界中で行われてきた……のだが、実験段階や実証実験レベルを超えてそれが導入されたことはない。世紀の変わり目前後にはアメリカはすでにこの技術に見切りをつけたという話も耳にした。また第二東名に自動運転レーンを導入するという噂も流れていたが、最近はそうした話もきかなくなっていた。

だがそこへグーグルが自動運転の話を蒸し返し、自動運転が突然息をふきかえしたのには驚いた。というのも、自動運転が実用化にまで到っていない大きな理由は、必ずしも技術的な問題だけではなかったはずだからだ。

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