どんなに経験を積んだところで、ビジネスにおいて全勝はあり得ない。
ビジネスとは、一定の割合で失敗するものでもあるからだ。ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正社長も言うように、「一勝九敗」の世界である。
柳井社長の著書『一勝九敗』に、子会社をつくって野菜ビジネスをはじめたときのエピソードが紹介されている。
野菜ビジネスへの進出については、メディアの報道でも、なぜユニクロが野菜かという声が多く聞かれた。社内でも反対があったという。
だが、やってみなければわからない。
結果的には、1年半で野菜事業から撤退することとなったが、これを失敗と思うか、それとも、さらなる成功の原点になったと考えるか。あなたはどう思うだろうか。
私は、失敗を成功の原点と思える人は、失敗を糧にできる人だと思っている。
失敗は、自分が変わるためのチャンスである。これまでのやり方では越えられない壁にぶちあたり、それを乗り越えたとき、人はとてつもない成長を遂げる。
壁を乗り越えるまでのプロセスは試行錯誤の繰り返し。つまりは失敗の積み重ねである。人が失敗からしか学べないというのは、成功とは結果にすぎず、成功までのプロセスはすべて失敗の連続だからだ。
ところが、せっかくの失敗を生かせない人がいる。失敗から目をそらしてしまい、正面から向き合うことができないのだ。
とくに若いときに成功を味わった人が挫折した場合、その失敗に向き合って乗り越えようとせずに、過去の栄光や実績で自分をなぐさめてしまうことがある。
もうひとつ、失敗から学ぶために身につけておきたいものがある。それは、現状分析の習慣だ。原因を振り返ることで、失敗を教訓として生かすのだ。
これは、結果が成功であったときでも同じだ。
「うまくいったときには窓の外を見て、失敗したときには鏡を見る」
経営戦略の名著『ビジョナリーカンパニー2』にある言葉だ。
この言葉が示すのは何か。私の解釈でいえば、とてつもない報酬を得る人とは、結果に対する現状分析を欠かさない人であるということだ。
【年収1億を生む黄金則】現状分析の習慣を身につけることで、失敗を教訓として生かす。
(※『プロフェッショナル ミリオネア』(プレジデント社刊)第1章「考える、失敗を積む」より)