男性も妊娠させる力が低下する

そして男性が「のんびりモード」になりがちなのは、女性と違い「自分はいくつでも大丈夫」と思っているせいですが、これも大間違いです。

前回(『キャリア女性が直面する「不妊」というガラスの天井』 http://president.jp/articles/-/10793?page=3)の「年齢別にみる排卵と妊娠率の関係」のグラフを見てください。男性が女性よりも5歳年上で、男性の年齢が40~44歳の場合、35~39歳の場合と比べると、妊娠率が10%下がっています。男性も年齢を重ねると妊娠させる能力が落ちます。男性の年齢も決して影響しないわけではないのです。

女性も男性も、妊娠適齢期や、男女の体について、早くから知るべきです。「女性手帳」ではなく男女ともに知る仕組みづくりが、少子化危機突破タスクフォース(第2期)で検討されています。私も女子大生にアンケートをとったところ、「妊娠適齢期について学んだことがある」という人はいませんでした。学校の保健体育の中にはあるのに、忘れてしまっているのですね。

そして「誰から、どんな形で習いたいか」という質問には「女医さんなどの専門家」から「学校の授業」でという意見が多かったのです。

私も印象深い授業にするために「外部の専門家」の導入は必要だと思っています。そして男性にも女性にも同じ知識を与えること。

私の妊活講座にも、カレシをひっぱってくる女子大生などがいて、真剣な顔で聞いてくれています。

そういった機会が増えるといいですね。男性に同じ話をしても、まだまだ「自分ごと」ではないのですが、少しでも心のどこかにひっかかっていてほしいと思っています。

今、女性だけが「働き、産み育てること」を担ってアップアップしているように思います。そんな女性たちの気持ちに寄り添い、「自分ごと」にしてくれる男性がいてくれればいいのですが、いなければ、夫を変えていく努力も必要なときがあります。「なぜ女だけ……? 不公平じゃない?」という気持ちもあるでしょう。でも、子どもがほしいと思うなら、これもそのための努力のひとつです。

子づくりをする気になったとしても、「子どもは自然につくるべきだ」「排卵日だから早く帰ってなどと妻がヒステリックになると、返ってできなくなる」という男性もいます。その場合、自然に子どもができる方法があります。それは「週4回」セックスをすることです。

そうすれば、排卵のタイミングを逃すことがないそうです。

4回は無理にしても、今子どもがほしいと思っているなら、1番おススメなのは、単純にセックスの回数をげること。2人の気持ちも体も寄り添わせることが妊娠への1番シンプルな近道なのです。

白河桃子
少子化ジャーナリスト、作家、白百合、東京女子大非常勤講師
東京生まれ、慶応義塾大学文学部社会学専攻卒。婚活、妊活、女子など女性たちのキーワードについて発信する。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活」を提唱。婚活ブームを起こす。女性のライフプラン、ライフスタイル、キャリア、男女共同参画、女性活用、不妊治療、ワークライフバランス、ダイバーシティなどがテーマ。講演、テレビ出演多数。経産省「女性が輝く社会のあり方研究会」委員。著書に『婚活症候群』(ディスカヴァー携書)、共著に『妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング』(講談社+α新書) など。