例えば、カメラ。「オタク脳」(男性)は、細かいスペックにこだわる。レンズがどうだとか、画素数はいくつなど、延々と議論して飽きない。

一方の「きずな脳」(女性)は、むしろ、カメラを使って、人と人とがどのような関係を築けるかに興味をもつ。一緒にスナップを撮影したり、写真を共有したりすることに喜びを感じるのである。

1つのことにこだわるオタク脳は、人間関係がおろそかになることも多い。数学にのめり込んで寝食を忘れ、コンピューターのプログラムばかりやって人とのつながりが消える。そのような事例は、男性に比較的多い。

一方のきずな脳は、人間関係の細やかなニュアンスに関心を抱き、その中で自分を活かそうとする。家族や友人との絆が何よりも大切であり、そこを離れて抽象的な問題を議論しても、仕方がないと考えるのだ。

1人ひとりの脳は、極端な「オタク脳」と、極端な「きずな脳」の間のスペクトラムのどこかにある。男性に比較的オタク脳が多く、女性にどちらかといえばきずな脳が多いというだけの話である。

誰の中にも、オタク脳ときずな脳の回路がある。人によって、その比重が異なるだけのことである。オタク脳ときずな脳のバランスはどうか、自分自身をふり返ってみよう。

1つ確実なことがある。それは、オタク脳ときずな脳が協力しなければ、何事もなしえないということだ。

オタク脳は、IT企業におけるイノベーションのように、1つのことに集中して突破する際には大いに力を発揮する。一方、ビジネスとして展開するに当たっては、人間関係を細やかに見るきずな脳の働きが大切になる。つまり、オタク脳ときずな脳が協力しないと、ベンチャーは成功しない。

異なる能力のシナジーから、ビジネスという「子供」が生まれる。男脳と女脳は、仲良くしたほうがよい。

(写真=PIXTA)
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