カリフォルニア州マウンテンビューのグーグル本社に行ったときの印象を一言で表せば、「遊んでいるな」というものだった。
会社の敷地は、まさに大学のキャンパスのよう。目立つところに、巨大な恐竜の化石のレプリカ(ティラノサウルス!)があった。自転車やスケートボードが、いろいろな所に転がっている。セグウェイで行き交う人もいる。
清涼飲料水を売る自販機は無料。食堂(カフェテリア)も無料。ハッカーが何も気にしないで仕事に熱中するには、最高の環境が実現されていた。
「おもちゃ箱をひっくり返したような」空間。そのあちらこちらで、世界を変えるようなプロジェクトが進んでいる。脳科学の視点から見ても、グーグルのキャンパスの雰囲気は、興味深いものであった。
世間では誤解があるようで、「仕事」と「遊び」は別だと考える人が多い。特に、日本人はマジメ。「仕事」に「遊び」を持ち込むなんて、とんでもないという意見が目立つ。
しかし、脳科学的にいえば、もっとも創造的で、効率のいい仕事ができるのは、まるで遊んでいるかのように仕事に取り組むときである。遊んでいるときにこそ、人間の脳はその潜在的能力を最大に発揮することができるのだ。
「遊び」が大切なのは、特に、リスクに向き合うときである。イノベーションを起こすためには、できるかどうかわからないという不確実性に、「必ずできる」という根拠のない自信をもって向き合わなければならない。
遊びは、まさにリスクに向き合うときの最高のスタイル。子供のときのことを思い出してほしい。ゲームでも、スポーツでも、後先のことを考えず、これで失敗したらおしまいだなどと思わずに熱中したときが、1番楽しかったし、成長もしていたのではないか。