「NO.1レシピサイト」が狙う新たな市場とは――。20代、30代女性の利用率は9割。営業利益率では50%を誇る同社が、さらなる成長を目論んでいる。新事業の仕掛け人たちが、それぞれの戦略を明かす。

トップにプレゼンして事業ごと採用

新規事業開発室 葉山茂一
1983年生まれ。東京大学文学部卒業後、マッキンゼー入社。3年でアマゾンジャパンに転職し、バイヤーとして3年半勤務。漢方に関する事業を目的に退職して起業。漢方のウェブサービス立ち上げを目指し、2012年11月クックパッドに入社。同社について「口幅ったいですが、経営道場みたい」と話した。

「漢方デスク」の立ち上げを担当する新規事業開発室の葉山茂一氏は新卒でマッキンゼーに入った後、アマゾンでバイヤーを経験し、その後自身で起業した経験の持ち主である。

「アマゾン時代、仕事はおもしろかったのですが、自分で新規事業をやってみたいという思いが強くなりました。いろいろなテーマがあるなかで漢方がおもしろいと考え、会社をつくり国にプロジェクトを提案しました。でも残念ながら予算は下りず、サービスを独力で開発していくのも厳しかった。しかし『これは絶対に意味のある事業だ』と思っていたので、その思いをいろいろな人にぶつけてみたんです。その1人が以前から面識のあった穐田で、『うちでやってみないか』という話になり、執行役会議でプレゼンをして、最終的にクックパッドで事業を立ち上げることになりました」

そこまで葉山氏がこだわりスタートしたのは、漢方・薬膳のポータルサイトだ。漢方の枠組みを使って個々人の体質に合った食材やレシピをお勧めすることで、ユーザーが体質を改善し健康的な生活を送れるよう支援するサイトである。

なぜ漢方なのか。それは葉山氏がサラリーマンをしながら事業企画を検討しているとき、漢方の普及に取り組む漢方医と出会い、その主張に共感したことがある。「高齢化社会になり、医療費負担が増えるなかで、自分で自分の体を守る流れがくる」というものだ。そして一時期、昼はサラリーマン、夜は起業準備という生活をしているうちに体調を崩し、自身でも漢方を服用したところ「ピタリと持病が治った」(葉山氏)経験が背景にある。