「NO.1レシピサイト」が狙う新たな市場とは――。20代、30代女性の利用率は9割。営業利益率では50%を誇る同社が、さらなる成長を目論んでいる。新事業の仕掛け人たちが、それぞれの戦略を明かす。

「楽天レシピ」を突き放しシェア8割

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地下鉄白金台駅を降り、洒落たショップやレストランが立ち並ぶプラチナ通りを恵比寿方面に歩いて5、6分。自然教育園の豊かな緑が左手に見えたところにクックパッドのオフィスはあった。

入り口には大型キッチンが設置され、ほのかに香辛料や食材の香りが漂う。その奥にはセンスのいいカフェのようなラウンジが広がる。昼休み時に取材へ訪れたときはキッチンで社員たちが自ら昼食を料理する姿があった。食材は会社が用意し、その費用は無料である。ここで自然に交わされる会話が、部署間を超えたコミュニケーションにも役立つという。

そんなオフィスの光景からは料理を愛する文化が育まれている様子が、ディテールへのこだわりからはベストを追求する会社の姿勢が感じられた。

料理レシピ検索サイト「クックパッド」を知らない人はもはや少数派であろう。月間利用者数は3267万人にものぼり、掲載レシピ数は150万品。日経産業地域研究所の調査によると、最もよく使うレシピサイトとして回答者の8割弱がクックパッドを挙げている。業績も約50億円の売上高に対し50%以上の営業利益率という高い収益性を誇る。

クックパッドのレシピは基本的に一般ユーザーにより投稿されたものである。なぜ多数の投稿が集まるのか。その秘訣は、投稿レシピに対して、別のユーザーが実際に料理をつくった結果を投稿できる「つくれぽ」という機能である。レシピ投稿者は他のユーザーからの反応が得られ、閲覧するユーザーにとってはつくれぽの数と内容がどのレシピを選択するかの助けとなる。多いものでは1万件を超えるつくれぽがついたレシピもある。