ビジョンを体現している人を特集したビデオを制作したケースもある。それを社内に配信したり、上映会を開いたりした後、議論の場を設けることで効果を上げている。

社員を巻き込んだ採用活動もビジョン共有に一役買っている。若手社員が学生に向けて会社のことを語る説明会などを設けると、彼らのビジョンに対する理解度が高まる。会社のビジョンを語る中で、自分の考えが明確になり、また、語ったからには実現しようという意欲も湧いてくる。

このように社員一人ひとりにビジョンについて考える機会を提供することが、ステップ2では1番大切だ。こうすることでビジョンと自身の仕事とを結び付けられるようにするのである。

掲げた会社側のビジョンと、社員がそれぞれ仕事を通じて実現したい個人のビジョン、この重なりの部分が大きいほど、モチベーションは高くなる。

ステップ3は、最終段階であり、社員一人ひとりがビジョンと自分の仕事を繋げ、誇りを持って取り組んでいる状態に持っていくことだ。

トップダウンのコントロールがなくても、現場の管理職がビジョンについて語ることができ、職場内の会話の中に自然に出てくるキーワードとしてビジョンがあるようにする。

1つのビジョンを社員が共有し、動き出した瞬間に、組織の機能はいい方向に回転を始める。これにより社会からもフィードバックを得て、さらにモチベーションが上がり、様々な新たな取り組みを発生させる。まさに社員が自家発電している状態だ。

先に述べたテレビCMなどのように、次の段階として、組織のビジョンを社外へ発信し、自分たちはこういう想いや考えを持って仕事に取り組んでいる、ということをアピールすることも社員のモチベーションをさらに上げることになるだろう。