世代間不公平は5000万円以上!

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図7 厚生年金の世代間不公平の大きさ

世代間の不公平の大きさは数字にしてみると想像以上に大きいことがわかる。厚生年金の場合、約3000万円の納め得になる1940年生まれと、2370万~2840万円の納め損になる2010年生まれとでは、差額が5000万円以上にも達する(図7)。

支え手の減少はその後も急速に進み、現役対高齢者の比率は40年に1.5対1、60年に1対1となる。現役世代1人が高齢者1人を支える状況を想像できるだろうか。欧州では200年かけて進行している高齢化が、日本では1代のうちにやってくる。世界の誰もが経験したことのない光景が日本に広がるのだ。

保険料の引き上げ、税金の投入には限界がある。そうなると年金支給年齢を引き上げるしか打つ手がなくなる。30代、40代の現役世代は、年金受給年齢が68歳どころか70歳に引き上げられることも覚悟しなければならない。

70歳まで引き上げで1380万円の損

本来65歳からもらえるはずの年金が3年、あるいは5年先に引き延ばされたら、どれだけの損失を被るのか。現在、公的年金の平均給付額は23万円程度(夫17万円、妻6万6000円)である。65歳から68歳に引き上げられた場合、「消える年金」は828万円、70歳までの場合では1380万円にもなる。政府・厚労省からみれば、その莫大な金額が積立金に残るのだから、引き上げは必須だろう。

仮に70歳まで引き上げられた場合、年金をほとんど受け取れずに死亡してしまう「納め損」が多数発生するのではないか、という声は多い。60代で死亡する例はあまり聞かないが、平均寿命が延びる中でも70代で死亡する例は珍しくない。