「ありがとう袋」で苦境に立つ飲食店を応援

新型コロナウイルスの影響により飲食店をはじめ、食に携わる方々が深刻な打撃を受けていた2020年5月。食いしん坊雑誌『dancyu』では、日本の食を支えてくださっている方の力になるため「ありがとう袋」プロジェクトを企画した。

「ありがとう袋」というぽち袋にチップ（心付け）を入れ、感謝や応援のメッセージを添えて渡すことで、飲食店を元気づける――このような取り組みを「コロナ禍だから」というだけでなく、食を応援するひとつの形として提案するプロジェクトだ。

目標達成率「672％」を記録した理由

本プロジェクトは多くの支援を集め、目標の672％という数値を達成したが、ここまで多くの支援を集めることができた理由はどこにあるのか。

1つには「食を応援する」という目的に共感しやすかったことがあると思われるが、これに加えてここでは、「ありがとう袋」の価値を高めるさまざまな工夫があったことを紹介したい。

「食いしん坊」な著名人による題字入り

「ありがとう袋」の表面には、このプロジェクトに賛同いただいたdancyuゆかりの著名人に題字をお書きいただいた。

俳優の市村正親さん（上段左）、作家・ミュージシャンの辻仁成さん（上段中央）、放送作家の小山薫堂さん（上段右）、GLAYのTERUさん（下段左）、お笑いコンビ・和牛の水田信二さんと川西賢志郎さん（下段右）

『dancyu』読者に加えそれぞれのファンからも多くの注目を集め、目標達成が大幅に後押しされることとなった。

製作は文房具専門店「伊東屋」

せっかく豪華な題字を書いていただけたのだから、袋もきちんとしたものを届けたい。そんな思いから「ありがとう袋」そのものの製作には文房具専門店「伊東屋」の協力を得た。

募集段階では完成品を掲載できなかったこともあり、伊東屋の製作協力があるということによって、支援者は安心して「ありがとう袋」の到着を待つことができたのではないかと思われる。

裏面はメッセージが書けるように罫線が引かれ、表面の題字をお書きいただいた方の名前も掲載されている。

本プロジェクトについては募集開始後すぐに朝日新聞デジタルに掲載されるなど注目が集まり、結果として目標達成率672％を記録し、プロジェクトは成功を収めた。「ありがとう袋」を通じて存分に食に携わる方々への感謝と応援を伝えていただけたのではないだろうか。

プロジェクトの流れ

飲食店を応援する企画という性質上、プロジェクト起案は5月からスタートし、9月には実行という異例のスピード進行となった。

事前に『dancyu』の誌面やウェブサイト、メールマガジン等で告知を行い、募集開始とともにさらなる告知を行ったことで、すぐに目標達成に至っている。目標達成後も告知を続け、達成率をさらに伸ばすことができた。

食いしん坊が盛り上がる企画を

dancyuのクラウドファンディングでは、このような応援企画はもちろん、食いしん坊にワクワクしてもらえるプロジェクトを実行する。さまざまな方と協力しながら、今までにない商品をつくったり、特別な食材を共同購入したりというような新しい企画にも挑戦したい。