2020年4月にクラウドファンディングサイト「PRESIDENT×dancyuクラウドファンディング」を立ち上げたプレジデント社。なぜ「自社のクラウドファンディングサイト」を立ち上げたのか。開設1年にもかかわらず高確率でプロジェクトを目標達成に導けている理由は何か。雑誌ブランドと編集目線を活かした独自の運営路線を紹介する。
PRESIDENT×dancyuクラウドファンディングとは
PRESIDENT×dancyuクラウドファンディング(以下「本サイト」)は「記事と連動するクラウドファンディング」として、プレジデント社が2020年4月に開設。「PRESIDENT」「dancyu」など、プレジデント社が有するエッジの立った各メディアのブランドを活かし、記事と連動したプロジェクトを実行している(個別のプロジェクトについては別記事を参照)。
審査基準は「記事として成立するか」
自社プロジェクトを行う際の基準は「記事として成立する」面白さ・話題性があるかどうか。雑誌記事、オンラインメディア記事のテーマとして成立するかどうかを、プロジェクトの審査基準としている。
自社のクラウドファンディングサイトを持っているため、この一貫した基準でプロジェクトの独自性を出すことができるのがプレジデント社の強みだ。さらに、この基準をクリアするプロジェクトについては自社メディアの記事と連動した告知が可能となり、高い確度で目標額を達成することにつながる。
有識者に聞くクラウドファンディングの勘所
一方、プレジデント社のほかにも自社サイトを持ってプロジェクトを実行する企業は増えている。そのなかでその成否を分けるポイントは何なのか。
SaaS型のクラウドファンディングサイト構築・運用サービス「CROWDFUNDING NETWORK Powered by ENjiNE」(以下「ENjiNE」)を提供する株式会社Relicの安立剛弘氏に、プロジェクトの成否を分けるポイントとプレジデント社の取り組みについて話を聞いた。
増加するプロジェクト、成否をわけるポイントは
ここ1年は特に、新型コロナウイルスの影響もあって資金調達の需要や応援の機運が高まり、クラウドファンディングという仕組み全体が活発化しています。プロジェクトの起案数も増えていますし、弊社のENjiNEを利用した自社サイトも、準備中のものを含めると200サイトに迫る勢いです。
プロジェクトが増えているいま、埋もれないためには企画の独自性や特別感をきちんと伝える必要があります。クラウドファンディングの支援者は“ここでしかできない体験や今ここでしか買えない商品、サービス”を期待している傾向がありますので、それをきちんと伝えることができているプロジェクトは強い。
また、集客(告知・露出)も成否を分ける重要なポイントです。プレジデント社のようにENjiNEを利用している場合は、同じくENjiNEを利用する他社サイトにも掲載を申し込めるので、このネットワークもぜひ活用していただきたいですね(ENjiNEについて詳しくはこちら)。
プレジデント社のクラウドファンディングについて
プレジデント社のプロジェクトは、どれもページのつくりがしっかりしている印象です。どのプロジェクトも写真が綺麗ですし、独自性・特別感のある企画を立てて、その魅力を伝えるページづくりができている。サイトで掲げている「編集目線」を感じます。
読者を巻き込んだプロジェクト起案がされているのも面白いですね。プレジデントウーマンの「理想のお仕事バッグ」をつくるプロジェクトでは、読者アンケートで働く女性がバッグに求めている機能をハッキリさせてから製品をつくっている。第1弾・第2弾合わせて2000万円を超える支援を集めていますが、6万円近いバッグがあれだけ売れたのはこの取り組みあってのことだと思います。
集客面では、多数の会員を持つメールマガジンが非常に強いツールになっていると思います。さらに、雑誌やウェブサイトなどに掲載して告知されたり、ENjiNEを活用し他社サイトにもプロジェクトを掲載されたりと積極的にプロジェクトの露出を図っているのではないでしょうか。
今後の展開
本サイトでは雑誌ブランドと合致するもの、つまり読者の心に響くもので、前述のとおり「記事として成立する面白さ」があればどんな企画も実行できる。製品のテストマーケティング、イベント開催、応援企画など、一見難しい企画にも挑戦できるのがクラウドファンディングの良さだ。
本サイトでは、ともに新たなプロジェクトに挑戦するパートナーを随時募集している。雑誌ブランドとコラボしたプロジェクトを考えたい方や、PR方法に悩んでいる方など、本サイトでのプロジェクト実施に興味をお持ちの方はぜひご相談を。