新入社・新部署に異動など、「清明」の時期は、新たにスタートすることがいっぱい。周囲の活気に押され、その焦りからストレスをため込み、思わぬ過食に発展する人も。食欲をコントロールし、代謝をアップさせる養生法を教えます。

本格的なスタートに不安が募り、体調管理がおろそかに

4月5日~4月19日は清明(せいめい)です。清明とは、清らかで明るい日差しが続くことを意味し、草木が本格的に芽吹きはじめます。実生活でも新学期や新生活がはじまり、いろいろなことが新たにスタートする(芽吹く)時期といえるでしょう。

この時期は、さまざまなことが変化することから、不安やストレスも増え、筋肉のトラブルや胃腸のトラブルへと発展していきます。日々の忙しさに、体調管理がおろそかになりがちですが、カラダのケアもしっかりと行っていきましょう。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Jakraphong Pongpotganatam)

清明のはじまりの初候、野山には花が咲き乱れ、花まつりなどのイベントが増えると同時に、ツバメが日本へと渡ってきます。また初ガツオの季節を迎え、山奥では行者ニンニクと呼ばれる希少な山菜が採れはじめます。季節が進む次候は、雁(がん)が北に飛び立つ頃であることから、北国ではこの時期にみられる曇り空を鳥雲(とりぐも)、鳥の群れが奏でる鳥がはばたく音を鳥風(とりかぜ)と呼んでいます。さらに、山ではタラの芽、海ではホタルイカが旬を迎えます。

終わりである末候には虹が頻繁にみられるようになり、三つ葉やメバルの旬となります。また、落葉樹のコナラが開花し、野山も花々や新緑で色鮮やかに変化していきます。

心身の疲れから、胃腸トラブルへと発展する人続出!

清明は、いろいろなイベントが増え、心身ともに疲れが目立ちはじめます。当初は疲れから、胃腸の調子をくずし、長引くと下痢や便秘を繰り返すなど、過敏性腸症候群の症状が表れます。逆に、急激に食欲が増すことで過食になり、太りやすいのもこの時期の特徴。そのため、清明は心身の疲れから、消化器系のトラブルを引き起こし、下痢や便秘、過食などなどに発展しやすくなるのです。日ごろから、腸内の調子を整えるとともに、食べすぎには気をつけ、カラダを動かすように心がけましょう。

季節的にも入学・入社式、歓迎会、お花見などのイベントが重なり、いろいろなものが本格的に動きはじめることで、変化を実感することでしょう。そのため、期待と不安に胸を膨らましている反面、はじめてのことばかりでココロもカラダも緊張し、疲れやストレスを感じます。ストレスケアをこまめに行い、ココロの管理を心がけましょう。

規則正しい生活には、食と入浴がカギに

「カラダとココロの養生法」

この季節で大切なことは、リラックスして緊張を解き放ち、規則正しい生活を送ること。定期的にストレスを解消するために、ゆったりとしたテンポの音楽を聴いたり、ラベンダーなどのココロを落ち着かせる香りを嗅ぐといいでしょう。

また、睡眠はカラダの疲れを取るもっとも効果的な方法です。熟睡できるように、寝る1~2時間前に湯船に浸かることで、カラダの体温を上げ、全身をリラックスさせるとともに眠りにつきやすい状態をつくることが大切です。

「食養生」

この季節に効果的な食材は「鶏肉」です。「鶏肉」は東洋医学で春を表す肝(かん)に属する食材。カラダを補う作用があり、滋養強壮作用もあることから、病気の回復や体質改善、心身の疲れを取るにも効果的です。また、脂肪分も少なく、ダイエットにも最適な食材といえるでしょう。

「お勧めのツボ」

この季節にお勧めのツボは、「神門(しんもん)」です。神門は、耳上部のY字型軟骨の間にあり、気持ちを落ち着け、安心させてくれる効果があります。また、神門はダイエット効果もあることから耳ツボダイエットでもよく用いられるツボです。

清明の時期に多い「過食」症状の対処法

「タイプ別・過食の原因」

この時期はストレスにより心身ともに疲れがたまりやすい季節。ストレスが原因で過食しやすくなるだけでなく、疲労回復にも栄養が必要なことから、何かと栄養摂取が過剰になりがちです。しかし、過剰な栄養摂取は、太りやすく、体型変化にもつながり、逆にカラダを疲れさせてしまう原因になります。自分のタイプに応じて適切なケアを行いましょう。

まずは、一生懸命頑張りすぎている頑張り屋さんタイプの人。カラダが硬いために、筋肉を動かしてエネルギーを産生する効率が悪く、カロリーが消費されていない傾向に。

また、生活リズムの乱れるによっておこる生活習慣タイプは、食習慣が悪く、カロリーの過剰摂取となっている可能性が考えられます。

最後に、年齢による加齢タイプの人は、エネルギーの消費元である筋肉量が低下しており、基礎代謝が低下している傾向にあります。

「タイプ別・過食の対処法」

頑張り屋さんタイプは、カラダが硬く代謝が低下しているため、入浴後、代謝に深く関係する、腸腰筋(ちょうようきん)のストレッチを10回程度行うようにしましょう。なお、腸腰筋を刺激するためには、踏み台昇降(階段の上り下り)のような、腿(もも)上げ運動が効果的。ふだんの生活でも、1、2階程度であれば、気分転換を兼ねて階段を利用するようにするといいでしょう。

片方のヒザをつき、立てたほうのヒザに両手を置く。カラダを真っ直ぐにしたまま体幹を前に移動させ、ヒザをついたほうの股関節前面の筋肉を伸ばす。*左右交互に10回行う。

生活習慣タイプの人の過食は、ストレスが原因の1つです。1日3食、規則正しく食事を摂るためには、過剰な食欲を抑えることが大切。満腹中枢を刺激する「胃」や「飢点(きてん)」の耳ツボを定期的に刺激するようにしましょう。特に、食事の20分前位に刺激すれば、食べ過ぎを防止できます。なお、耳ツボ刺激は、食欲を抑えることを目的とせず、刺激によって食欲が抑えられている間に、食習慣を整えることを目的に行うことが大切です。

最後に加齢タイプの人は、体幹の筋肉をつけることがもっとも大切。「ハンドニー」と呼ばれる手と足のラインが平行になる運動が効果的です。これは、腹横筋(ふくおうきん)と多裂筋(たれつきん)と呼ばれる、体幹筋を鍛える運動で、お腹あたりに力が入っていることを確認しながら行います。1回30秒を10回ほど行うようにしましょう。

手と足のラインを床と並行にし、お腹付近に力が入っていることを確認。手足に力が入っている場合は、鍛えている筋肉が異なるので注意。

リフレッシュさせるためにもっとも重要なのは睡眠

清明は季節が大きく変化し、その変化に心身が追いつかないため、ストレスや疲労を感じやすい時期です。ストレスを解消し、心身をリフレッシュさせるためには、しっかりとした睡眠が必要です。そのためには、規則正しい生活がもっとも重要になります。車でも一定速度の走行は燃費が良いのと同様に、規則正しい生活が心身のストレスや疲れを減らすのです。

睡眠は、毎日6時間はとるようにしたい。スマホ、PCの光は交感神経を刺激するため、入眠1~2時間前には見ないように心がけよう。
「清明」の特徴

●心身の症状
カラダ:心身の疲れ、食欲過多、下痢、便秘、不眠
ココロ:ストレス(緊張、焦り)

●季節に多い症状
過食

●心身の養生法
睡眠の改善(リラックス)
腸内フローラの調整

●食養生に効く食材
鶏肉

●ツボ
神門(しんもん)