無理のない範囲で、ゆるやかに糖質を制限する“ロカボ”ならお酒もデザートも食べられて、美しくやせることが可能。その驚異のメカニズムを提唱者の医学博士の山田悟先生に伺った。

糖質は野菜や調味料にも入っています。これらを制限するとなると、料理の選択肢はかなり減ってしまいます。ロカボは食生活の質が変わらない範囲で糖質量を減らしましょうというダイエット方法です。

今までに糖質制限で失敗している方は、糖質と一緒に脂も控えてしまっている場合が多い。普通の食生活では、炭水化物(糖質)は1日の摂取エネルギーの50~60%を占めています。これを10%まで減らすのであれば残りの40~50%はタンパク質や脂質で補う必要がある。糖質もタンパク質も脂質もすべて控えるとすれば、それはただのカロリー制限。カロリーが足りないと、エネルギー源としてアミノ酸を使ってしまうため、筋肉がつかず、やせにくい体になる。結果として冷え症になったり、肌がカサついてシワが増えます。

満腹になるまでのカロリー摂取量が糖質を食べていると徐々に増えていくという研究結果もあります。糖質は満腹を感じにくい体にするわけです。対してお肉は満腹感があります。エネルギー消費が上がるので、運動をしなくてもやせることができるのです。食べてやせるには、糖質をセーブし、おいしくタンパク質や脂質を食べることが一番の近道なのです。

<太らない食べ方はどちら?>

【三角食べ】子どもの頃、おかずとご飯は交互に食べなさいと言われたが、実は血糖値が上がりやすい。【直線食べ】野菜、タンパク質、炭水化物の順で食べる“ベジファースト”「野菜と肉、どちらを先に食べたほうがよいかわかっていません」(山田先生)。(イラスト=別府麻衣)

●正解は……「カーボラスト食べ」

野菜と肉や魚などのタンパク質はどちらを先に食べてもOK。この2つでお腹を満たしてから最後に食べる糖質量を減らすことが重要。(イラスト=別府麻衣)

<1日の糖質の摂り方>

▼糖質量
朝(20~40g)/昼(20~40g)/おやつ(10g)/夜(20~40g)
=1日の摂取目安(70~130g)

▼糖質量20gの目安
・ご飯→軽く茶碗半分
・6枚切り食パン→1枚
・フランスパン→1切れ

夜ロカボdeお酒もフレンチも

すべての食事を変えることに抵抗がある人は、まずは糖質過多になりがちな夕食から挑戦してみて。3分の1にはなるものの、その効果は実感できるはず!

野菜が入ったおかずの糖質量は平均約20g。1食20~40gの糖質は摂っていいのですから、残りを主食で摂るなら、ご飯は70gでお茶碗半膳ぐらい。食パンなら6枚切り1枚です。

主食を削れば、ビール500mlや日本酒も2合ぐらいまではOK。タンパク質や脂質でお腹いっぱいになるのが目安。1日にお肉だと500g、豆腐で6丁くらいのタンパク質を摂取している日本人が一番腎機能が高くなっていたというデータもあります。脂質については、そもそも上限量を設定する必要すらないと米国の食事ガイドラインアドバイス委員会が言っています。

<「とりあえず1杯」も、このお酒で!>

●ビール 350ml中 10.9g

●ワイン 1.5g、ハイボール 0g、焼酎水割り 0g

▼お酒の糖質量(100ml中)
ウィスキー 0g/ウォッカ 0g/焼酎 0g/ブランデー 0g/ラム酒 0.1g/ジン 0.1g/ワイン(赤) 1.5g/ワイン(白) 2.0g/スパークリングワイン 2.0g/ビール 3.1g/黒ビール 3.4g/日本酒(本醸造) 4.5g/紹興酒 5.1g/梅酒 20.7g

<こんなおつまみがオススメ!>

(イラスト=別府麻衣)

▼おつまみの糖質量
枝豆 24g中(1.0g)/冷や奴(絹ごし)100g中(2.5g)/エビのアヒージョ エビ200g中(0.9g)/魚のカルパッチョ 1人前(0.5g)/焼き鳥(塩・タレ混)4~5本(6.5g前後)

おつまみもカロリーではなく、糖質を減らすことを意識したい。お酒と相性のいい油脂を使ったアヒージョやカルパッチョ、良質のタンパク質を含む豆腐などの大豆製品や、焼き鳥などはたっぷり摂っても大丈夫。ダイエット中とは思えないほど食べられるものが多いのもロカボならでは。晩酌も思う存分楽しんで。

<焼き肉もガッツリ食べられます!>

(イラスト=別府麻衣)

極端な糖質制限だとNGの焼き肉のタレも、ロカボならOK。タンでもカルビでも好きなものを好きなだけ食べましょう。そのかわり締めの冷麺は避けるべき。「最後にご飯が入る余地を残しておくことが間違い。締めを食べたいと思ったら、もうひと皿お肉を追加。お腹がいっぱいになれば、ご飯を食べたいと思わないはずです」(山田先生)

 
▼徹底するのは……

1. タンパク質(肉・魚)をたっぷり摂取
2. 筋肉になりやすいタンパク質を摂取(牛・羊> 豚> 鶏> 魚> 大豆製品)
3. 食物繊維の多い野菜もたっぷり
4. 炭水化物(カーボ)は最後(ラスト)に

山田 悟(やまだ・さとる)
医学博士/北里大学北里研究所病院糖尿病センター長。日本糖尿病学会学術評議員。日本臨床栄養学会学術評議員なども務める。2013年11月、一般社団法人 食・楽・健康協会を設立。ロカボライフ=ゆるやかな糖質制限を提唱。近著に『緩やかな糖質制限 ロカボで食べるとやせていく』(幻冬舎)、『dancyuダイエット実践ロカボライフ!』(プレジデント社)。