日本のお正月には欠かせない食材「餅」。日本鏡餅組合によると、お正月に餅を食べるのは平安時代に宮中で健幸と長寿を祈願して行われた正月行事「歯固めの儀」に由来するといいます。また、現在でも約9割の人がお正月に餅を食べるという調査結果もあります(出典:「正月に関する調査」ドゥ・ハウス、2014年12月調査実施)。

さて今回は、企業や社会で活躍中の管理栄養士・栄養士160名に行ったアンケート結果から、そんな「餅」の上手な食べ方についてお届けします。

*「年末年始の食生活」のアンケート
【調査概要】調査手法:インターネットリサーチ、調査対象:管理栄養士・栄養士160名、調査期間:2015年10月15日~11月30日、調査実施機関:食プロリサーチ

 Q:栄養素や栄養成分の観点から、餅と一緒に食べたほうがよい食材や、餅の食べ方としてすすめられるものは何ですか。 

第1位:大根と一緒に(60人)
第2位:きなこと一緒に(34人)
第3位:鍋料理の具として使う(29人)

何と一緒に、どの順で食べるかが重要

食べ方のバリエーションが豊富な「餅」。定番の砂糖醤油のほか、バターやチーズなどともよく合います。でもおいしいからといって食べ過ぎては正月太りの原因に……。

おすすめの餅の食べ方、第1位は“大根と一緒に”、でした。大根には消化酵素が多く含まれ、特にデンプン分解酵素であるアミラーゼは、餅の消化を助けます。一方で、消化酵素は熱に弱く、加熱すると破壊されるという性質も。そのため、加熱せずに大根おろしと食べる「からみ餅」がおすすめです。大根が持つ栄養については、連載の以前の記事『冬の美容対策には、「根菜」使い分けを!』(http://woman.president.jp/articles/-/769)もご参照ください。

第2位は大豆を炒って粉にした“きなこと一緒に”、でした。きなこは、タンパク質など大豆の優れた栄養素を効率的に吸収できる食材。しかも、餅に含まれる糖質をエネルギーに変えるビタミンB1が豊富。イソフラボンによる美肌効果も期待したいですね。また餅の原材料である「米」と、きなこの原材料である「豆」は、アミノ酸スコアが100となる組み合わせ。アミノ酸スコアとは、体内で合成できない必須アミノ酸がどれくらいの割合で含まれているかを100点満点で示す指標で、アミノ酸スコアの値が高いほど良質なたんぱく質とされます。例えば、卵はアミノ酸スコアが100の理想的な食品です。餅は必須アミノ酸であるリジンが少ないため、リジンの多い大豆と一緒に食べるのがよいわけです。

第3位には“鍋料理の具として使う”がランクイン。野菜や肉、魚などを食べた後、締めを餅にするのがおすすめ。餅は糖質が多いため、食べ過ぎると太りやすい食材。まずは野菜やきのこなど食物繊維の多い食材から食べ始めれば糖質の吸収が抑えられ、さらに満腹感も得られて食べ過ぎ防止につながります。餅だけだと偏りがちな栄養バランスも、鍋なら自然とよくなりますね。

 Q:自分や家族が餅を食べる時、気を付けていることは何かありますか。 

■子供には小さめに切り、よくかんで食べるように声をかけています。(40代、フリーランス)

■餅は簡単に食べられてしまうので、食べ過ぎないようにします。高齢者には消化を助ける大根おろしを添えています。(40代、食品メーカー勤務)

安全面だけじゃない! 食べ過ぎ防止にも効く「切り分け」

何個も食べてしまう餅ですが、市販品の切り餅は1個50グラム前後(118kcal)。2個で軽めに盛ったご飯1杯分にあたります。食べ過ぎないためのコツは、小さく切り分けること。焼き餅も半分に切ってから焼けば、「2個食べた!」という心理的効果が働き、量を抑えやすくなります。

また、餅は喉につまりやすい食べ物。家族に小さな子供や高齢者がいる場合にも、やはり小さく切って食べるのがよいですね。

【文・監修】食プロリサーチ(http://www.shoku-pro.com/
食・健康分野に特化した人材サービス業の株式会社RDサポートと、健康情報分析評価業の株式会社インサイツの共同運営による食品メーカー向け研究開発・マーケティング支援サービス。管理栄養士・栄養士会員4000人の「食の専門家」としての知識・信頼性を活かした調査や販促支援を行う。