忘年会の季節になりました。お酒はもちろん、おいしいものを食べ過ぎてしまうことも。冬太り対策に取り入れたい「糖質制限ダイエット」を安全に成功させるコツを、企業や社会で活躍中の管理栄養士・栄養士160名に聞きました。

12月に入り、忘年会の季節になりました。お酒はもちろん、ついついおいしいものを食べ過ぎてしまうこともあるのではないでしょうか。調査によると、「年末年始に太った」と感じる人は76.4%に上るそうです(出典:「お正月太りについてのアンケート」サニーヘルス、2015年1月調査実施)。そこで今回は、企業や社会で活躍中の管理栄養士・栄養士160名に行ったアンケート結果から、ダイエット、中でも糖質制限ダイエットについてお届けします。

*「年末年始の食生活」のアンケート
【調査概要】調査手法:インターネットリサーチ、調査対象:管理栄養士・栄養士160名、調査期間:2015年10月15日~11月30日、調査実施機関:食プロリサーチ

忘年会シーズン到来。たくさん飲んで、おいしく食べて、締めはご飯ものにするかラーメンにするか迷っちゃう……。食べ過ぎが気になるときには、賢く適切に「糖質制限ダイエット」のノウハウを取り入れてみてはいかが?

糖質制限ダイエットとは、炭水化物・タンパク質・脂質の三大栄養素のうち、炭水化物に含まれる糖質の量を抑えるもので、もともとは糖尿病患者向けの治療から始まり、一般に広まりました。ご飯、麺、パン、ジャガイモなどの炭水化物を極力に減らす代わりにタンパク質や脂質はとってもよい、とされており、カロリーを抑えるダイエットに比べて取り組みやすい方法と言われています。

ただし、注意しなければならないのは、極端過ぎないようにすること。行き過ぎた糖質制限は、栄養バランスを偏らせるだけではなく、身体的な危険が伴う場合もあります。「糖質は絶対とらない!」ではなく、あくまでも「糖質控えめ」を意識するようにしてください。

 Q:糖質制限をする際に、知っておくべきことは何だと思いますか? 

第1位:極端な制限をすることによる弊害(106人)
第2位:糖質の体内での働き(39人)
第3位:いろいろな食品の糖質量(21人)

糖質の適量とは?

糖質は、人間が活動するための主要なエネルギーを生み出しています。エネルギーが不足すると、疲労感が出たり集中力が低下したりする結果に。また糖質の中でもブドウ糖は、脳・神経に必要であり、不足すると意識障害を起こしてしまう可能性もあるのです。

では、どれくらいの量であれば問題ないのでしょうか。

「日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」では、1日の摂取カロリーの50~65%を炭水化物でとることが奨励されています。平均的な30代女性の場合、糖質250~325gが1日あたりの標準量ということに。これは、ご飯でいうと茶碗4杯分くらいに当たります。イモ類や砂糖などの調味料にも糖質が含まれていることを考慮すると、茶碗3杯くらいが1日あたりの適量です。

この標準量に対して、女性のダイエットに適した「ゆるい糖質制限」では、1日あたり150~180gを目安にすることが多いようです。まずは主食であるご飯やパンを"控えめ"にして、甘いお菓子や飲み物を減らすことから始めてみてください。

【参考:食品ごとの糖質量(例)】

■ご飯(精白米)1杯(200g) 336kcal 糖質74.2g
■フランスパン1切れ(25g) 70kcal 糖質13.7g
■クロワッサン1個(30g) 134kcal 糖質12.7g

→主食には糖質が多く含まれます。

■サツマイモ1/3本(148g) 245kcal 糖質53.2g
■カボチャ煮付け小鉢1皿(60g) 56kcal 糖質10.3g
→イモ・カボチャも糖質が多い食材です。

■アーモンド片手1握り(20g) 120kcal 糖質1.8g
■カマンベールチーズ1/6切れ(20g) 62kcal 糖質0.2g
→意外と糖質が少ないのです。

 Q:手軽に糖質制限を始めたい方が簡単にできることは何だと思いますか(複数回答可) 

第1位:主食の量を調整する(123人)
第2位:ご飯に玄米や雑穀を混ぜる(95人)
第3位:糖の吸収を抑える食材をとる(47人)

糖質はちょっとした工夫で減らせる!

手軽な糖質制限No.1は“主食の量を調整する”でした。一般的な人は糖質のほとんどをご飯・パンなどの主食からとっているため、その量を減らすのが最も手軽な糖質オフです。おすすめは普段使う茶碗を小さくすること。心理的な小食効果も期待できます。外食の際は店員さんに「ご飯は少なめにしてください!」とお願いするといいですね。

第2位は“ご飯に玄米や雑穀を混ぜる”。白米よりも糖質が少ないだけでなく、かみごたえがアップして満腹感を得られやすくなり、またダイエット時に不足しがちな食物繊維やビタミンを多くとることができます。ご飯を炊くときに1袋混ぜるだけになっている商品を使うと取り入れやすいですよ。パンを選ぶときにも、同様に胚芽パンなどの茶色いパンを選ぶとよいですね。

第3位は“糖の吸収を抑える食品をとる”でした。糖の吸収を抑える成分の代表格が水溶性の食物繊維。海藻と果物に多く含まれていますが、果物には糖質も豊富なため、海藻を積極的に食べるのがおすすめです。

賛否両論ある糖質制限ダイエットですが、正しく行えば成果に期待できます。過度な制限は禁物、あくまでも「糖質控えめ」を忘れずに! 次回は「年末年始の家族の健康」について紹介します。お楽しみに。

【文・監修】食プロリサーチ(http://www.shoku-pro.com/
食・健康分野に特化した人材サービス業の株式会社RDサポートと、健康情報分析評価業の株式会社インサイツの共同運営による食品メーカー向け研究開発・マーケティング支援サービス。管理栄養士・栄養士会員4000人の「食の専門家」としての知識・信頼性を活かした調査や販促支援を行う。