経営に興味があってスタートアップの会社へ

2013年10月にメルカリに入社しました。メルカリは個人間でモノを売り買いするフリマアプリを日本とアメリカで展開しています。

メルカリに入社する前は、アニメやゲームコンテンツをつくる会社3社で財務、経理、人事、国内外のグループ企業管理やIPO準備等と幅広く様々な仕事を経験してきました。

メルカリ 執行役員 掛川紗矢香さん

大学在学中から経営に興味があり、最初に入った会社は規模こそ小さかったのですが、経営の近くでいろいろ学べる環境がいいなと思い入社を決めました。大手の会社さんからも内定を頂いていて、当時周りではスタートアップの会社に入る学生はあまりいないこともあり、友達から「本当に大丈夫?」と心配されたくらいです。

2社目のアニメーション会社GDHは人事で入社し、採用や労務など、人の働き方を間近でみる機会が多く、自分にはどういう仕事があっているのか、と考えることが増えました。多くの人と話し、幅広い業務に携わる中で、スペシャリストよりもジェネラリストとして仕事をしたいという気持ちが芽生えました。ちょうどタイミングよく、子会社を上場させるので準備をやってほしいという話があり、その仕事に手を挙げました。IPO準備室の一員として財務、経理やIPOの準備等を経営の近くで携わることができたことは、非常に大きな経験となり、現在のスキルセットやビジネスの進め方のベースになっていると思います。

また、海外子会社の立ち上げや子会社管理を手掛けたことも、非常によい経験となりました。日本とは文化が違う国の方とのコミュニケーションはお互い理解できないことも多く、尊重しあうことが重要であるということを学びました。特に、業務時間の違いは大きく、夕方5時には帰宅してしまっている人が多いので、時間配分には気をつけていました。スムーズに進められるように早朝出勤をしたり、一方で先方にも期日が迫っている際は時間に融通をきかせてもらったり。離れていても同じグループの一員ですから、仲間であるということをお互いに認識して助け合うということが大切だと実感しました。

前職で手に入れたもの

前職グリーでの4年半は全速力で走り抜けました。

09年にグリーに入社したときは、まだ社内だけでゲームを制作していて子会社もない時代で、社員数も70人ほど。ライバルとの競争が激しさを増す中、プラットフォームを構築して他社のゲームを受け入れるプロジェクトがはじまります。

当時26、27歳だった私も経験は浅いながら、お客さま向け決済担当としてそのプロジェクトに参画させてもらいました。多くの会社のゲームが入ってくるので、決済の仕組みはどうするか、会計上の処理はどうするかをゼロベースで検討していきました。

プラットフォームの仕組みをつくることは非常に大掛かりで、一つ変えればどこに影響が及ぶのかをすべて把握しておかないと事故につながります。経験が乏しいので難しい仕事でしたが、当時他部署の役員とやり取りをすることが多く、経験が浅い部分を補って常に助けてもらっていました。大きなプロジェクトに携わったことがなかったため、段取りも資料の作り方もよくわかりませんでしたが、見よう見まねで進める中で、「この資料わかりやすいな」と言われたときは非常に嬉しかったことを覚えています。

家族が入院したことも重なり、勤務時間をずらして看病をしながら勤務していた時期があり、肉体的にも精神的にもつらい部分が多かったですが、多くの方に支えられて成し遂げることができた、思い出深いプロジェクトとなりました。

また、前々職で得た異文化間でのコミュニケーションスキルを生かす機会もありました。子会社の立ち上げです。前職では全部で6カ国に子会社を設立したので、設立、採用、閉鎖などイベントが盛りだくさんでした。ここでもやはり仕事に対する考え方や、勤務時間の違いがあり、お互いを尊重するということを念頭に関係構築をしていきました。今でも当時の現地のスタッフとは連絡を取り合って、出張などでタイミングが合えば会うようにしています。

代表の話に引き込まれて

前職では、プラットフォームの構築、子会社の設立、グローバル展開など、目まぐるしく社内が動く中で全速力で走り、業務の知識だけでなくマネジメントなどを含め多くのことを学びました。4年半駆け抜けてふと立ち止まったときに、今まで得てきた知識や経験を今度はアウトプットしていきたい、スタートアップの中枢で組織を作っていきたいと思うようになりました。

13年に代表の山田(進太郎)がメルカリを創業したのは記事で読んでいました。でも正直そのときは「フリマか……全然、興味ないな」って(笑)。それから半年間、すっかり忘れていたのですが、転職を決意したタイミングで「そう言えばメルカリ、どうなったかな」と思い出したんです。山田とは知り合いではなかったので、Facebook経由で共通の知り合いを探して紹介してもらいました。話してみたらしっくりきて、とんとん拍子で決めてしまいました。

当時消費税が増税になり個人間取引が増えることや、世界でのシェアリングエコノミーの広がりの可能性について山田から話を聞く中で、フリマだけではなく、シェアリングエコノミーという大きなくくりの中でビジネスが展開できそうであることに興味を持ちました。モノだけではなく、時間やスキルなどをシェアできる世の中ってすごく素敵じゃないですか。日本の女性は特に、出産してから仕事に復帰できない人もまだまだ多いので、自らの能力を活かして、少しの時間でスキルがシェアできたら経済効果も大きいなと。また、海外展開も前向きに考えていたので、それなら海外子会社を管理した経験も活かせるので、すごくおもしろいなと思いました。