20~69歳の成人の半数以上が「冬は野菜摂取量が減少する」と感じている、という調査結果があります(出典:ネオマーケティング「野菜不足に関する調査」)。中でも11月は、野菜の購入金額が1年で最低になるなど、野菜不足になりがちと言えそうです(総務省家計調査、2014年1月~12月の集計による)。

そこで、野菜不足解消におすすめしたいのが「根菜」。秋から冬にかけて寒くなってくるこの時期に旬を迎える根菜は、食物繊維を豊富に含んでおり、老廃物を排泄するデトックス効果が期待できます。また、消化酵素が豊富なものが多く、忘年会などで胃に負担がかかりやすいこれからの時期にもってこいの食材なのです。

冬のあったか食材といえば根菜。積極的に食事に取り入れている人も多いのではないでしょうか? 

今回は、企業や社会で活躍中の管理栄養士・栄養士134名に行ったアンケート結果から、根菜の魅力についてランキング形式でお届けします。

*「寒い冬にオススメ!ホットな食材」のアンケート
【調査概要】調査手法:インターネットリサーチ、調査対象:管理栄養士・栄養士134名、調査期間:2015年9月16日~10月31日、調査実施機関:食プロリサーチ

 Q:根菜のもつ働きで、魅力的に感じるものは何ですか。(複数回答可) 

第1位:便秘解消(61人)
第2位:からだを温める(33人)
第3位:消化吸収を助ける(18人)

「根菜+水分」で“便秘解消”

根菜の働きで魅力的に感じるもの第1位は、豊富な食物繊維による“便秘解消”でした。食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がありますが、根菜の多くに含まれるのは不溶性食物繊維。腸内で水分を含んで膨らみ、便の排出を促します。ただし、水分が少ないと便を固くしてしまうため、一緒にしっかり水分をとることを忘れないで。

第2位は“からだを温める”。その理由は、根菜にはビタミンEを豊富に含むものが多いからです。ビタミンEは毛細血管を広げて血行を促進します。そのため、からだを温める作用が期待できるのです。

第3位は“消化吸収を助ける”。例えば、ダイコンには消化酵素が豊富に含まれています。また、レンコン、ヤマイモ、サトイモなどには、胃の粘膜を保護するムチンが含まれ、タンパク質や脂肪の消化を促進する働きがあります。

このように魅力いっぱいの根菜ですが、食のプロフェッショナルである管理栄養士・栄養士はその中から何を選んでいるのでしょうか。

 Q:冬によく使う根菜は何ですか? 

第1位:ダイコン(92人)
第2位:ゴボウ(16人)
第3位:レンコン(9人)

からだに優しい酵素がいっぱいのダイコン。おすすめの食べ方は?

人気の根菜No.1には“ダイコン”が選ばれました。ダイコンには、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなどの消化酵素が豊富に含まれ、消化を助けてくれます。ただしこれらは熱に弱いという特徴も。そのため、生で食べる「大根おろし」がおすすめの食べ方です。また、ダイコンは乾燥させるとカルシウムや鉄分、ビタミンB1、B2が増えるなど栄養価が高くなります。ヘルシーかつ栄養価の高い料理として、切り干しダイコンはおすすめです。

第2位は“ゴボウ”。食物繊維とポリフェノールが豊富な女性に嬉しい食材です。炊き込みご飯してもとてもおいしいです。詳しくは以前の連載『自炊下手こそ炊き込みご飯! 美肌をつくる究極の「具」とは?』(http://woman.president.jp/articles/-/687)を参照してください。

第3位は“レンコン”。レンコンはビタミンCが豊富。何とレモンと同等量が含まれているのです。また、胃の粘膜を保護するムチンのほか、美白効果を持つタンニンも含まれています。

 Q:根菜に含まれている栄養素・栄養成分を効率よくとるために、おすすめの調理法は何ですか? 

※■以下は、おすすめメニュー

第1位:煮る(91人)
■汁もの。豚汁でもけんちん汁でも、とにかく具だくさんにすればいろいろな野菜がとれるすし、おかずとしてもボリュームアップできます。汁ごといただけるので栄養素も逃がさず、からだも温まります。(40代、フリーランス)
■筑前煮(30代、食品メーカー勤務)
■根菜(ゴボウ、ニンジン、ダイコン、サトイモ、カブなど)とイワシのつみれ汁(30代、フリーランス)

第2位:蒸す(24人)
■タジン鍋を使って蒸した温野菜サラダ(40代、食品メーカー勤務)
■バーニャカウダ(20代、厨房機器メーカー勤務)
■ダイコンの柚子蒸し(20代、無職)

第3位:炒める(14人)
■きんぴらごぼう(30代、食品メーカー勤務)
■ニンジンの卵とじ(40代、臨床検査会社勤務)
■ゴボウと牛肉のごまみそ炒め、ゴボウとシメジの卵とじ(20代、食品メーカー勤務)

“煮る”ことには、栄養面でも重要な意味が!

根菜は固いものがほとんど。煮込み料理やスープなど、加熱することでやわらかくなる温かい料理に使うと食べやすさが増します。また、先に述べたように、根菜に含まれる不溶性食物繊維は一緒に水分をとる必要がありますが、汁ものに入れれば自然に水分がとれるので、一石二鳥です。煮ることで消化もよくなり、胃腸にも優しい食べ方です。

第2位は“蒸す”。油を使わずにすむため、ヘルシーな蒸し料理は、焼く、煮るといった調理法よりビタミンなどの損失が少ない点が魅力です。量もたくさん食べられますね。

第3位は“炒める”。ニンジンに含まれるビタミンAのような脂溶性ビタミンは、油と一緒にとると吸収率が上がります。

寒い冬には、根菜の入った温かい料理が欠かせません。ただし、根菜は野菜の中では高カロリーの部類に入ります。食べ過ぎには気を付けてください。次回は、冬の料理の代名詞「鍋」についてお届けします。お楽しみに。

【文・監修】食プロリサーチ(http://www.shoku-pro.com/
食・健康分野に特化した人材サービス業の株式会社RDサポートと、健康情報分析評価業の株式会社インサイツの共同運営による食品メーカー向け研究開発・マーケティング支援サービス。管理栄養士・栄養士会員4000人の「食の専門家」としての知識・信頼性を活かした調査や販促支援を行う。