秋の食材の代表格「キノコ」。この季節になると、スーパーマーケットなどで一大コーナーができるほど、多種類のキノコが販売されます。林野庁によると、日本には4000~5000種類のキノコが存在しており、そのうち食用とされるものは約100種類あるそうです。私たちが目にしているキノコは、ほんの一部でしかないのですね。

リーズナブルで入手しやすい点も魅力の“キノコ”。人気No.1はどれ?

キノコには食物繊維が豊富に含まれ、かつ低カロリー。また、様々なビタミン・ミネラルを含んでいるなど、その機能性は高く評価されています。今回は、企業や社会で活躍中の管理栄養士・栄養士155名に行ったアンケート結果から、キノコの魅力と活用方法をランキング形式でお届けします。

*「秋が旬!おいしい食材」のアンケート【調査概要】調査手法:インターネットリサーチ、調査対象:管理栄養士・栄養士 155名、調査期間:2015年8月20日~9月30日、調査実施機関:食プロリサーチ

 Q:よく食べるキノコを教えてください。(複数回答可) 

第1位:しめじ(127人)
第2位:えのき(115人)
第3位:しいたけ(92人)
第3位:エリンギ(92人)

疲労回復や肝機能を助ける“しめじ”が人気No.1

管理栄養士・栄養士がよく食べるキノコ第1位は“しめじ”でした。しめじには、日本人が不足しがちな必須アミノ酸の一種であるリジンが多く含まれています。リジンにはタンパク質の吸収をよくする働きがあり、疲労回復や肝機能を高める効果があります。

第2位は“えのき”。えのきは、キノコ類の中でもビタミンB1の含有量が非常に多く、疲労回復効果が期待できます。

第3位は同数で“しいたけ”と“エリンギ”が並びました。しいたけは日光に2~3時間当てるだけでビタミンDが増える特徴を持っています。エリンギは、食物繊維の含有量がキノコ類の中でもトップクラス。また、カリウムも多く含んでいるため、むくみ予防にもなります。

 Q:キノコの働きで最も魅力に感じるものは何ですか。 

第1位:生活習慣病予防(65人)
第2位:便秘解消(52人)
第3位:ダイエット補助(21人)

ダイエットや便秘解消にはキノコ!

管理栄養士・栄養士が魅力に感じるキノコの働き第1位は“生活習慣病予防”。キノコは食物繊維が豊富で、コレステロールを排出する働きがあります。またカリウムが多く含まれており、塩分排出効果によって血圧低下作用も期待できます。さらに、低カロリー食材であることもキノコの魅力の1つ。カロリーを気にせずたくさん食べられ、かつ栄養価が高いというところは、第3位の“ダイエット補助”にも通じる点です。

第2位は“便秘解消”。食物繊維がお通じを助けることはご存知ですよね。キノコに含まれる食物繊維は不溶性食物繊維と言われ、水分を含んで腸内で膨らみ、腸のぜん動運動を高めて、便の排出を促します。

 Q:キノコに含まれている栄養成分を効率よくとるため、また体によい、おすすめの調理法は何ですか。(複数回答可) 

第1位:炒める(62人)
■ビタミンDは脂溶性栄養素であるため、油と一緒にとることで吸収率がアップするから。(30代、食品メーカー勤務)
■炒めるとかさが減ってたくさん食べられることに加えて、肉・魚などのタンパク源とも合わせやすいため。(30代、フリーランス)

第2位:蒸す(60人)
■水に溶けやすい栄養素を損なわずにとることができる。蒸し料理は素材の持ち味を生かすことができるので、味付けが少なくてすむため。(20代、医療機関勤務)
■低カロリーの調理法であり、量を多く食べることができるため。(20代、食品メーカー勤務)

第3位:煮る(60人)
■煮ることで、水溶性の栄養素を煮汁と一緒に摂取できる。(30代、フリーランス)
■煮物は薄味をカバーできる調理法なので。(40代、医療機関勤務)

第4位:焼く(58人)
■きのこは水分が90%前後を占めるので、その水分の流出を防げるから。表面をさっと焼くと、調理時間が短くてすむ点もよい。(30代、食品メーカー勤務)
■あぶり焼きにすると、香りと食感がよくなるから。(20代、食品メーカー勤務)

煮ても焼いてもおいしいキノコ。調理法のおすすめ第1位は“炒める”

キノコには、骨をつくる材料となるカルシウムやリンの吸収をアップさせるビタミンDが多く含まれています。ビタミンDは、油と一緒にとると吸収率が上がる脂溶性ビタミンであるため、“炒める”が管理栄養士・栄養士が最もおすすめする調理法となりました。

また、キノコは水分が非常に多い食材であるため、“蒸す”“煮る”“焼く”場合には、水溶性ビタミンであるビタミンB1、B2や水溶性食物繊維が水分と一緒に流出してしまわないように、調理時間を短くするか、煮汁などと一緒にとれるようにするといいですよ。

キノコに含まれる栄養素は、その種類によって異なります。栄養素の特長もさまざまですので、料理に使う際には、いろいろな種類のキノコを一緒にとるようにすると、バランスがとれていいですね。次回は、秋の食材をふんだんに盛り込める「炊き込みご飯」についての調査結果をお届けします。お楽しみに!

【文・監修】食プロリサーチ(http://www.shoku-pro.com/
食・健康分野に特化した人材サービス業の株式会社RDサポートと、健康情報分析評価業の株式会社インサイツが共同運営する管理栄養士・栄養士限定の会員制サービス。管理栄養士・栄養士の知識・信頼性を活かした機能性食品市場のマーケティング支援を行う。