秋めいてくると、果物、野菜、きのこなど、一年中見かける食材も旬を迎えて、味はもちろん、栄養価も格段にアップします。また、採れる量も多くなり、値段もお手頃になるなど良いことばかりです。

果物がひときわおいしくなる秋。選び方や食べ方を工夫して、美容に、健康に生かしましょう!

ところで、なぜ秋になると食欲が増すのでしょうか? 「気温が下がり、体温保持のために体が基礎代謝を上げ、エネルギーが多く使われておなかが空く」「日照時間が短くなると脳内の神経伝達物質セロトニンの分泌量が減り、減少分を補うためにたくさんの栄養が欲しくなる」「秋はおいしいものが多く、自然と食欲が増す」など、その理由は諸説あり、さまざまな要因が影響しあって「食欲の秋」になっていると考えられています。

今月は、企業や社会で活躍中の管理栄養士・栄養士155名に行ったアンケート結果から、秋が旬のおすすめ食材とその魅力をランキング形式でお届けします。

*「秋が旬!おいしい食材」のアンケート【調査概要】調査手法:インターネットリサーチ、調査対象:管理栄養士・栄養士 155名、調査期間:2015年8月20日~9月30日、調査実施機関:食プロリサーチ

 Q:秋が旬の果物の中で、栄養価・機能性の観点から魅力に感じるものは何ですか。 

第1位:柿(44人)
第2位:イチジク(37人)
第3位:ブドウ(34人)

 Q:それぞれの果物に期待する効果は何ですか?(複数回答可) 

【柿】
第1位:ビタミンCが豊富(34人)
第2位:カリウムが豊富(21人)
第3位:抗酸化作用(15人)

【イチジク】
第1位:食物繊維が豊富(26人)
第2位:カリウムが豊富(18人)
第3位:抗酸化作用(16人)

【ブドウ】
第1位:抗酸化作用(28人)
第2位:カリウムが豊富(11人)
第3位:ビタミンCが豊富(5人)

意外! ビタミンCが豊富な“柿”

秋の魅力的な果物、第1位は“柿”。柿はビタミンCが豊富な果物って知っていましたか? ビタミンCは酸っぱい果物に多く含まれているというイメージがありますが、なんと柿にはみかんの2倍のビタミンCが含まれています。ビタミンCは免疫力を上げるため、風邪予防などに良いことは有名な話。「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざも、柿はビタミンCが豊富なところによる、と言われています。また、カリウムも豊富でむくみ予防・改善が期待できます。

第2位の“イチジク”は水溶性の食物繊維が豊富です。食物繊維には「水溶性」と「不溶性」があり、水溶性の食物繊維は糖分の吸収速度を緩やかにするので、食後の血糖値の急激な上昇を抑えてくれます。さらに、脂肪の吸収を抑えたり血中コレステロール値を減少させたりする働きもあります。

第3位の“ブドウ”は、皮に抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富に含まれていますので、よく洗って皮ごと食べるのがおすすめです。ただし、食べすぎるとおなかを壊すこともあるようなので気を付けて。また、ブドウの糖質はすぐにエネルギーに変わるため、疲労回復効果も期待できます。

果物は栄養価が高く、美容にも役立ちますが、常備が難しいのが玉に傷。そこで、高い栄養価と保存の簡単さを併せ持つ「ドライフルーツ」について、管理栄養士・栄養士に聞いてみました。

 Q:ドライフルーツの良い点は何ですか。(自由記述) 

■少量で満足感があり、美容にも健康にも良い。お菓子を食べるより低カロリーで、ダイエット中の間食にぴったり。ビタミン、ミネラルなどが凝縮されていて、栄養価が高い。(40代、食品メーカー勤務)
■乾燥している分、生フルーツより栄養価が高い場合が多い。産地と、必要以上に食品添加物を使っていないかなどもチェックしてから購入している。(30代、フリーランス)
■水分を多く含む果物は、ひとり暮らしの場合、傷まないうちに食べきるのが大変です。その点、ドライフルーツは保存性が高く、食べたいときに食べたい量をとることができます。また甘みが強いので、少量で空腹を満たすことができます。(20代、食品メーカー勤務)

会社のデスクにも常備できる果物、それはドライフルーツ

ドライフルーツは、乾燥させることで水分が減り、味が凝縮され濃厚になります。中には、柿のように乾燥によって成分が変化し、甘みが増すものも。紫外線を浴びることで栄養価が高くなるものもあります。

ただし、砂糖や保存料などの添加物が使用されていることも多々あるので、購入する際は「砂糖不使用」「無添加」のものを選ぶのがおすすめです。また、栄養素が凝縮されている分、カロリーも高め。食べ過ぎには注意してください。

 Q:よく食べるドライフルーツを教えてください。(複数回答可) 

※■は、その理由

第1位:レーズン(62人)
■かみごたえのあるものが食べたいときに。甘みと食物繊維、ミネラルがとれるので、クッキーなどを食べるくらいならレーズンを選びます。(20代、保健指導会社勤務)
■酢漬けにしておくと、料理やお菓子作りに使用できて便利。常備しておき、家に果物がないときに食べています。(50代、健保組合勤務)

第2位:プルーン(59人)
■鉄分やカリウム、食物繊維を多く含み、さらに満足感も得られます。(30代、主婦)
■朝、ヨーグルトとグラノーラを食べるときに、トッピングします。できるだけ砂糖漬けではないもの、ノンオイルのものを選んでいます。(30代、フリーランス)

第3位:マンゴー(48人)
■スナック菓子を食べるよりも、食物繊維がとれるマンゴーがおすすめ。朝食のプレーンヨーグルトにトッピングとしても使っています。(20代、食品メーカー勤務)
■少量で満腹感が得られ、健康や美容にも良いので、小腹が空いたときのおやつにして、ダイエットに励んでいます。(40代、食品メーカー勤務)

人気No.1は、抗酸化作用を持つポリフェノールが豊富な“レーズン”

“レーズン”は、ブドウをまるごと乾燥させているため、ブドウの皮に多く含まれるポリフェノールを手軽にとることができます。そのままでも良し、料理やお菓子作りに使っても良し、の万能ドライフルーツです。

第2位の“プルーン”には鉄分が多く含まれ、貧血気味の方におすすめ。食物繊維も豊富な女性の味方です。

第3位の“マンゴー”は、美肌ビタミンとしてビタミンエース(ACE)とも呼ばれるビタミンA・C・Eを豊富に含んでいるため、美容に嬉しい栄養素をとることができます。

味も栄養価も優秀な秋の果物、ぜひ旬の時期に堪能してください。また、保存性に優れたドライフルーツは、仕事中のおやつに最適。バッグに忍ばせておくのも良いですね。秋が旬のおすすめ食材シリーズ、次回は秋の代表的な食材「きのこ」についての調査結果をお届けします。お楽しみに!

【文・監修】食プロリサーチ(http://www.shoku-pro.com/
食・健康分野に特化した人材サービス業の株式会社RDサポートと、健康情報分析評価業の株式会社インサイツが共同運営する管理栄養士・栄養士限定の会員制サービス。管理栄養士・栄養士の知識・信頼性を活かした機能性食品市場のマーケティング支援を行う。