だるさを感じる、食が進まない……、9月に入って見られるこれらの症状は「夏バテ」ならぬ「秋バテ」。気温の変化や、夏場からの水分やミネラルの不足が原因と言われます。朝食・昼食・飲み会の席で何を食べるべき? 食の専門家である管理栄養士おすすめの対策を、ランキング形式でご紹介します。
猛暑日記録を更新するなど、とにかく暑かった2015年の夏。急に涼しくなってきましたが、体調が優れないという方もいらっしゃるのではないでしょうか? 昨今、「夏バテ」だけではなく「秋バテ」という言葉もよく聞かれるようになりました。女性の半数以上が秋に不調を感じており、そのうち「夏の不調が回復せず秋になっても続いている」という人が9割に上る、というデータもあります(出典:ウーマンウェルネス研究会「夏から秋の不調に関する意識調査」)。
そこで今回は、企業や社会で活躍中の管理栄養士・栄養士140名に行ったアンケート結果から、「夏バテ」「秋バテ」などの「バテ」対策をお届けします。以下、ランキングとその理由です。
*「夏バテにイイ! 食事のアンケート」【調査概要】調査手法:インターネットリサーチ、調査対象:管理栄養士・栄養士 140名、調査期間:2015年7月23日~8月31日、調査実施機関:食プロリサーチ
Q:食欲のない朝におすすめの食べ物は何ですか?(複数回答可)
第1位:スープ(62人)
■野菜スープなど食物繊維もとれるものは、腸の働きが活発化し、免疫機能も上がるため。(30代、医療機関勤務)
■食事がのどを通りづらくてもバテないように、タンパク質、ビタミン、ミネラルも摂取しておきたいから。(40代、料理教室講師)
第2位:みそ汁(61人)
■温かい発酵食品が効率的に摂取できる。具によってはタンパク質やミネラルなども同時にとれていい。(30代、食品メーカー勤務)
■みそ汁には、ビタミンB群、Eやミネラルが豊富に含まれているので、元気を早く取り戻せるから。(40代、教育機関勤務)
第3位:野菜ジュース(43人)
■飲みやすいサイズのものがコンビニでも買え、手軽に野菜由来の栄養を摂取できるから。(20代、委託給食会社勤務)
第4位:100%果汁ジュース(27人)
■かんきつ系は胃の動きを活発にさせるので。(30代、医療機関勤務)
第5位:牛乳(23人)
■牛乳は、水分補給に加え、タンパク質、カルシウム補給になるから。ホットミルクにすれば、内臓も温まる。(30代、医療機関勤務)
朝食には温かい汁物がおすすめ!
“スープ”が第1位、僅差で“みそ汁”が第2位となりました。ともに「胃腸を温めて消化・吸収を助ける」ということが理由の大多数を占めました。朝は1日で最も体温が低いため、朝食には体を温めるという大事な役目があります。食欲のない朝は、胃腸に負担をかけずにその役割を果たせる汁物がいいですね。
また、スープやみそ汁には、具材を工夫することで手軽に栄養補給ができるというメリットもあります。食欲がないときは、どうしても炭水化物が不足し、頭が回転しなくなってしまうという悪循環になりがち。スープご飯にするなど、食べやすくするための工夫をしてみてはいかがでしょうか。さらに、豆腐や鶏肉を入れてタンパク質をとったり、野菜でビタミン、ミネラルを補給したり。こうした工夫によって、ますます疲労回復が期待できます。
Q:夏バテ気味の女性がランチをする場所として、どこがいちばん適切だと思いますか?
※■以下は、おすすめメニュー
第1位:定食屋(71人)
■生姜を効かせた煮魚や、さっぱりとした酢の物や温かいみそ汁などがついた定食。ご飯の量でボリュームを調節しながら、足りない栄養素の摂取が目指せます。(40代、医療機関勤務)
■疲労回復が期待できる豚の生姜焼き定食。定食スタイルだと、必要な栄養をバランスよくとりやすいですよ。(30代、無職)
第2位:カフェ(33人)
■野菜たっぷりの丼。カフェは気軽に入れて、温かいものは温かく食べられるところがいいですね。(20代、保育園勤務)
■チキンやツナの良質なタンパク質と一緒に、彩り野菜のサラダやスープなどを。バテているときは食欲がなくなりますよね。そんなときこそ、景色がよいカフェなど癒される場所で、素敵なお皿やカトラリー、爽やかな雰囲気などを楽しみながら食べるのがおすすめです。(40代、食品メーカー勤務)
第3位:コンビニで購入(20人)
■コンビニ食はおかずのバリエーションも豊富。少量のものを組み合わせることで、サラダやおにぎり、スープにヨーグルトと、フルコースを食べられます。(50代、医療機関勤務)
栄養バランス重視! 雰囲気がいいお店は気力回復にも役立つ!?
管理栄養士・栄養士の約半数が“定食屋”を選びました。理由は栄養バランスを整えやすいから。食欲がなくあまり食べられないときこそ、バランスを重視したいですね。主食(ごはんなど)・主菜(メインのおかず)、副菜(小鉢)がそろったものを選ぶのがおすすめです。特に小鉢が2品程度ある定食を選ぶと、簡単にバランスを整えることができます。
第2位の“カフェ”を選んだ人からは、「ランチは雰囲気も重要」という意見が多く挙げられました。なかなか食が進まないときは、食事を簡単に済ませてしまいがち。雰囲気のいいカフェでゆっくり昼食をとれば、気力・体力ともに回復できそうですね。
Q:お酒を飲むシーンでのおつまみ選びで、次のうち、「バテ対策」になるのはどれですか。
第1位:大豆製品が使用されているメニューを選ぶ(冷奴など(53人)
■植物性タンパクとミネラルが含まれ、バテだけでなく肝臓にも優しい。(30代、委託給食会社勤務)
■暑いとき、そうめんなどの炭水化物は食べられても、タンパク質はとりにくいため。(40代、フリーランス)
第2位:酸味があるメニューを選ぶ(酢の物やピクルスなど)(43人)
■酢には疲れ対策にいい有機酸や、またアミノ酸も含まれているので、ピクルスはおすすめ。野菜をとることで、ビタミン・ミネラルも摂取できます。(30代、フリーランス)
■バテには、クエン酸を摂取! 酢の物や梅を混ぜたメニューを選ぶといいです。(40代、食品メーカー勤務)
第3位:揚げ物は控える(唐揚げやポテトフライは控える)(17人)
■代謝が悪くなっているので、体には極力負担を与えないように。(20代、教育機関勤務)
おつまみは「高タンパク」「クエン酸」がキーワード!
バテ気味のときのおすすめのおつまみとして、「大豆製品」「酸味」が上位に挙がりました。疲れていると、おつまみよりもお酒に手が伸びてしまいがちですよね。でも、おいしくお酒を飲み、翌日に疲れを残さないためには、“賢いおつまみ選び”が重要なんです!
おつまみ選びの基本は「高タンパク」。タンパク質が肝臓の代謝機能を促進し、アルコールの分解を活発にします。中でも、大豆製品などの植物性タンパク質は、豊富な必須アミノ酸が肝臓を助けてくれます。
また、バテ気味の体には疲労回復に役立つクエン酸もおすすめ。酢の物やかんきつ類からとることができます。同じお酒を飲むのなら、レモンサワーやゆず酒など、かんきつ系のお酒を選んでみてはいかがでしょうか?
バテ気味になると、どうしても食事がおろそかになりがちです。そんなときはぜひアンケート結果を参考にしてみてください。ちょっとした工夫で、元気が早く取り戻せるかもしれません。
次回は、食欲増進のサポーター「香辛料」の活用方法をお届けします!
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