ロコモとは、ロコモティブシンドロームの略で、Locomotiveは“運動の”という意味。「運動器症候群」とも呼ばれ、その名の通り、骨や筋肉、関節などの運動器が衰え、立つこと、歩くことといった暮らしの中の自立度が低下することで、寝たきりや要介護になる危険度が増していきます。
歩けない? 立てない? 寝たきり? 要介護? と聞いてもピンと来ないかもしれませんが、その数、予備群を含め推定4700万人! 実に国民の3人に1人にのぼります。 ロコモはメタボ(メタボリックシンドローム)に続く国民病として予防強化が急がれています。2回目の今回は、ロコモ予防のトレーニング方法を伝授します。

ロコモ予防の鍵は、「体を使う」習慣!

骨や筋肉、関節といった運動機能の低下により発症するロコモティブシンドローム(通称ロコモ)。膝や腰が思うように動かないというと、そこに過重な負担をかけている、太っている人のことを思い浮かべます。確かに、肥満は膝や関節や腰に痛みを起こしやすい状態といえますが、痩せ型の人にロコモは心配ない? かというと、そうではありません。

体を動かすことで、骨には良い刺激が与えられ、筋力もキープでき、関節も柔軟に保たれて運動機能の低下を防ぐことができます。また体を動かしてでる汗は、老廃物を体から追い出す腎臓の働きをサポートする役割も。美容にうれしい体のデトックス効果も期待して、日頃から積極的に体を動かす習慣を身につけたいものです。

チリツモ×チョコマカ作戦、ミッションを遂行せよ。

国はロコモやメタボの予防に1日8000歩~1万歩(に相当する身体活動)を推奨しています。しかし、30代女性の1日平均歩数は6653歩(厚生労働省:国民健康・栄養調査 平成24年)。実際に1万歩を歩こうと思うと、1分間で100歩を歩いたとして100分、1時間40分必要ということになります。

細切れで1万歩を歩くとしても、忙しい毎日、歩くためだけに1時間40分を確保するのは現実的とはいえません。

何とかその運動量に近づけることはできないでしょうか?

例えば、1日1万歩ではなく1週間で7万歩を目標にして、働きながらの健康管理にゆとりを持たせるのも手。また、歩く機会を増やすことをベースに、チリツモ&チョコマカと運動機能を使うコツもあります。

チリツモ&チョコマカ10のコツ

1. 自宅から駅、駅から会社まで早足で歩く
2. 電車の中ではなるべく立つ。つま先立ちで全身運動に!
3. 帰りは一駅手前で降りて歩いてみる
4. 階段を利用する。長い距離の場合は途中まででもOK
5. ランチの後は歩いて歩数アップ
6. 椅子に座って脚を軽く上げ10秒キープで筋力アップ
7. 買い物はまとめて済ませず、こまめに出かける
8. 出勤10分前の軽い体操か散歩を日課にする
9. 夕食後、テレビを観ながらでもストレッチや軽い筋トレを習慣に
10. 休日は床拭きや風呂掃除、洗車などで積極的に体を動かす

このほか、万歩計アプリやゲーム感覚の健康アプリなど、スマホの便利な機能を駆使しても。会社帰りのすきま時間を使って、楽しく体を動かす習慣ができそうです。

ロコトレ実践でロコモ知らず。副産物は美姿勢なり!

ロコモの予防に日本整形外科学会が奨めているロコモーショントレーニング(通称ロコトレ)があります。下記のたった2つの動作ですが、足腰がしっかり鍛えられるばかりか、バランスを司る体幹の筋肉にもアプローチするため、理想的な姿勢が無意識のうちにキープできるように。丸まった背中や肩こりが解消された後は、すとんと肩が落ちて、すっと首の長い美しいあなたの立ち姿が鏡に写ります。

 バランス能力アップ↑【ロコトレ~片脚立ち】

背筋を伸ばすことを意識して。
(イラスト=吉岡ゆうこ)

■左右1分間ずつで1セット/1日3セット

1)背筋を伸ばして立つ
2)眼は開けた状態で、床から5cmくらい片脚を浮かせる
3)1分間キープ
4)脚を替えて繰り返す
※椅子やテーブルなどバランスを崩してもつかまれる物の側で行なうと安心
※電車やバスなの待ち時間などを活用しても

 

 下肢(足腰)筋力アップ↑【ロコトレ~スクワット】

深呼吸するように5-6回目安に。
(イラスト=吉岡ゆうこ)

■5~6回続けて1セット/1日3セット

1)肩幅より少し広めに足を広げ、つま先はかかとから少し(30度)外側へ開く
2)膝がつま先より前に出ないようにお尻をしずめます
※洋式便座にゆっくり腰をおろすイメージで
※膝を90度以上曲げないようにします

 

※次回の「健康寿命考 ロコモティブシンドローム」は【ロコモを防ぐ、おいしい食習慣】をテーマに7/1の掲載を予定しています。