誰もが安心して
お墓を建てられるように

中島誠之助さん(写真左)
1938年東京生まれ。古伊万里など東洋古陶磁器の魅力を世に広める。「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京系)にレギュラー鑑定士として出演、鋭い鑑定眼と歯切れのよい江戸っ子トークでお茶の間の人気者に。著書に『ニセモノ師たち』(講談社)、『やきもの百科』『天下の茶道具・鑑定士中島の眼』(淡交社)など多数。

吉田 全優石の活動は今年、30周年を迎えます。石材店の安心の目印にしようとつくった組織なんです。創立当時は、墓の調査をすると「墓石店は価格やサービスが不透明だ」という消費者の声をいただきました。墓石に価格表示をしているところなどは、ほとんどありませんでしたから、消費者にすれば、「値段を勝手に決めている」との不信感があったのだと思います。

中島 それは意外ですね。子供の頃に教科書で読んだ話では、青山墓地の近くに「石勝」という石材店があり、石勝じいさんが朝早くから墓石を彫って勤勉だと。だから石材店は、じつにまじめで勤勉な商売だというイメージがあります。

吉田 そう言っていただけるとありがたいのですが、一方で、消費者に不安を与えるようではいけません。そこで全優石では創設以来、価格表示を奨励しています。また、なにをもって“安心”といえるかということで、保証制度を整えました。それぞれの石材店による保証に加え、組織でも保証するかたちを構築したのです。

中島 保証というのは、なにを保証してくれるのですか。

吉田 いま、日本で建てられている墓の9割は中国でつくられています。品質レベルは日本製品と比べても遜色ありません。ただ、中国は誰にでも売ってしまうために、売りっぱなしの業者がドッと参入したことが、トラブルを引き起こしています。墓石というのは、“墓守”といって、100年前に建てた石だって石材店は管理をしています。それをサポートするための制度です。

中島 なるほど。だからこそ、“いいもの”を保証しなければいけませんね。青山墓地のお墓なんかは、もう100年以上経ったものばかり。先般、家内とウィーンに行ったときにも、墓を大切にしていると感じましたね。エジプトのピラミッド、中国の孫文の墓、台北の蒋介石の墓、アメリカのマッカーサーの墓もそうです。それから、高野山へ行ってごらんなさいよ。奥の院へ行く間に、戦国時代の武将の墓が、物言わず厳然とあるでしょう。あそこへ行くとやっぱり、いい加減な気持ちにはなりませんね。

吉田 その場に立つと、その人が当時どうだったかと想いを巡らす。それが墓ですね。最近ではロッカー式など、墓の簡素化の流れもあります。それを否定するつもりはありません。でもやっぱり、そもそも墓とは何かを考えていかないと、これから50年、100年と経ったときに、日本人の精神が廃れていってしまうのではないかと危惧しています。

中島 私はよく、シニアを対象にした講演会に呼ばれるんです。そこで「いざって時のためにタンスに金を貯めているんでしょ? それで、オレオレ詐欺に取られるだけだ」という話をする(笑)。そんな目に遭うくらいなら、いま、そのお金を取り出して墓をつくればいいじゃないかと、本当に思いますね。

吉田 全優石では、そうした大切なお金で墓を建てる方に安心していただけるよう、今後ますます努めていきたいと考えています。

全国優良石材店の会
全国の優良・名門石材店約300社で組織する墓石業の専門店グループ。1983年の創設以来、消費者が安心してお墓づくりを任せられる店をめざして活動。お墓を石材店と組織全体で守る「ダブル保証書」の発行、セミナーの開催、お墓に関する相談受付など、消費者向け事業を展開している。