子どもは全部分かったうえで不登校になる
親や先生は、子どもが登校をしぶるようになったとき、勉強が遅れることや集団活動の経験が減ることなどを心配しがちです。何日も続けて休んだら、勉強面でも生活面でも、さまざまな学習が滞るのではないかと案じたりします。その遅れが将来に響くのではないかという不安もあるかもしれません。
そういう気持ちもあって、子どもを頑張らせようとすることがあるわけですが、本人としては、学校に行って勉強したほうがいいことがわかっていても「もう行きたくない」「つらくて勉強どころではない」というくらいに追いつめられて、登校をしぶっています。「問題の最終段階」というのはそういうことです。
大人と子どもの視点に、それぐらい大きなズレが起こることがあります。そのズレに気づかないまま、子どもを無理に学校に行かせようとしていると、それまで仲のよかった親子でも、関係が険悪になっていくこともあります。
担任の誘いで6時間目まで出席できたが…
次に、実際に大人と子どもの視点に大きなズレが生じてしまった例を紹介しましょう。
(相談例1)
担任に誘われて再登校したが、
また行けなくなった子
小学6年生 女子の場合
このお子さんは小学6年生の女子です。自閉スペクトラム症(ASD)の特性があり、対人関係が苦手です。ある時期から何人かの同級生との関係が悪くなってしまい、学校を休むようになりました。すると、担任の先生がこのお子さんのことを心配して、ある朝ご家庭に立ち寄り、彼女を励まして、一緒に登校しようと誘いかけました。
お子さんは、その日は先生と一緒に学校へ行ったそうです。そして最後の6時間目まで授業に出てから帰宅しました。同級生との間にも特にトラブルは起こらなかったようで、その日の夜、先生から親御さんに「楽しそうにしていましたよ」「もう大丈夫でしょう!」「明日もぜひ来てください!」「待っています」というような連絡がありました。
親御さんと先生は「これでまた学校に通えるようになるのでは」と考えたそうですが、次の日の朝、お子さんは登校をしぶりました。
そしてまた学校を休むようになり、その後は担任の先生が立ち寄っても、絶対に会おうとしませんでした。


