GRGPの受講生らによるシンポジウムの様子。こうしたイベントを通じても、多様な国籍の学生と触れ合うことができる。
GRGPから、どのような人材が巣立っていくことを期待していますか。

宮野 グローバル・エンジニアと呼ばれるにふさわしい「開国的マインド」を自分のなかに培って、社会へ出てほしいと思います。ものづくりの分野を例にしますと、「エンジニアの役目は研究開発」「海外へ売るのは営業担当者」という棲み分けはもう通用しません。技術レベルでは新興国も日本を追い上げてきており、グローバル競争の勝負は、技術をいかに使うかにかかっています。エンジニアも自ら世界へ出て行き、それぞれの地域や国のニーズを肌で感じ取ったうえで自身の専門性を生かす必要がある。つまり、あくまでニーズに合った性能のもの、売れるものをつくり出すことが求められるのです。「開国的マインド」をもったエンジニアとは、フットワークも軽く、グローバルな視点をもって、ローカルなニーズにも応えられるような研究開発活動ができる人材を意味します。

幸いGRGP受講生は就職活動において高く評価されています。これからも学生たちが自身の希望を叶え、社会に貢献できるよう願っています。

誰もが同じ世界に生きる
一員であることに気づく

浅井静代●あさい・しずよ
立命館大学理工学部准教授
GRGP国際コーディネータ

私はネイティブの講師と協力して、コミュニケーション、プレゼンテーションを軸とした英語の指導を行う一方、GRGPのコーディネートも担当しています。学生からのインターンシップの相談などにも乗りますが、例えば行き先を決める段階では、本学との提携関係がない組織を希望する学生も出てきます。そのようなときは「飛び込み的なアプローチも必要」と照会や応募のメール作成をサポートすることもありますね。いざ海外へ出ると、専門知識の向上以外にもさまざまな収穫を得ることができます。例えば、米国だからといって肯定・否定を断言しすぎては、チームワークが成立しない。そうした当たり前のことを体感するのも貴重な経験です。

GRGPでは同期生、先輩・後輩とのつながりも重視し、インターンシップや就活で得た教訓は報告会などを通じ共有しています。自己体験をもとに「グローバル人材とは?」といったテーマでプレゼンし合うこともあります。でも、グローバルという言葉自体にとらわれすぎる必要はない、と私は考えています。日本人だけが異なる存在なのではありません。一度海外で暮らせば、誰もが同じ世界に生きる一員で、違いばかりでなく共通することも多いと気づく。すると異文化のハードルは確実に下がります。そうした成長を期待し、私たち教職員は“Team GRGP”の意識でバックアップに努めています。

取材を終えて──

宮野先生は、研究開発の仕事においても、人間を知ることが極めて重要だと考えている。留学やインターンシップで人材の多様性に触れながら活動する意義も、そこにあると。人間を知らずして、真に人々の役に立つ技術や製品を生み出すことはできないだろう。横と縦の人的交流も盛んなGRGPで学んだ、人間性豊かなエンジニアたちの活躍が楽しみだ。

●お問い合わせ先/立命館大学 URL http://www.ritsumei.jp/

第3回“留学経験で広がる可能性”は、2013年8月12日掲載予定。