“点検”してはいけない
岡山大学准教授の中山芳一先生も、監修した著書『3歳までのカンタンおうちあそびレシピ50』(日本能率協会マネジメントセンター)の中で「子どもの思考力を育てるには、開かれた問い=オープンクエスチョンが有効である」と述べています。東大生の親はこれを自然に実践しており、日常のやり取りの中で、思考を促す“問いかけの技術”を活用しているのです。例えば、帰宅後であれば、次のような会話です。
○「今日の勉強で、一番面白かったところはどこ?」
このような問い方によって、子どもは自分の内面を見つめ、言葉にしようとします。もっと言えば、ただ「今日の勉強どうだった?」と聞くのではなく、相手の話に紐付けて話をするのです。ベストな問いかけは次のような内容です。
このように、相手の以前の話に紐付けて、相手からの情報を引き出している場合が多いのです。実際、私たちが指導するご家庭の中にも、「勉強やった?」「模試どうだった?」と“点検のための会話”ばかりになってしまっている家庭がありました。しかし、お子さんにしてみればそれは「監視されている」「信じられていない」と感じさせる一因となり、家庭での会話自体を避けるようになってしまっていました。
「沈黙の時間」を設ける
そこで、「宿題やったの?」という問いをやめ、「今日の勉強で、一番疲れたところは?」などと、“感情”や“気づき”に寄り添う問いに変えたところ、親子の会話量も増え、家族の雰囲気も良くなったと伺いました。これは一つ参考になる話かもしれませんね。
また、もう一つ東大生の親が優れているのは、「待つ」というスキルです。面白いことに、東大生の中には「1つの質問で1時間以上悩んでしまうタイプ」も少なくありません。思考が深すぎて、1つの質問に対して時間をかけて考え込んでしまうのです。これは決して非効率なことではなく、むしろ「考え続ける力」が深く根付いている証拠です。
そんなタイプの子どもに対して、「早く答えなさい」「何でもいいから言ってみて」などと急かすのではなく、じっと沈黙の時間を待ってあげられる親御さんが多いのです。
これは、コミュニケーションという分野に留まる話ではなく、子どもに対する接し方全般に言えることです。勉強を教える、勉強時間を管理する、塾を探す……親の関わり方は多種多様ですね。しかし、東大生の親に共通しているのは、「親が勉強を教えた」というよりも、「考える力を引き出した」という姿勢なのです。「指示」や「助言」よりも、「対話」や「傾聴」を重視した関わり方。そして何より、子どもの思考のスピードを尊重し、焦らせないことを意識しているのです。


