安倍政権の政策転換により長く続いたデフレが終焉、インフレが始まろうとしている。
経済環境が大きく変化する今、資産運用にも新たな発想と戦略が必要だ。 

インフレから資産を守るには
投資が欠かせない

深野康彦●ふかの・やすひこ
ファイナンシャルリサーチ代表。日本の家計を20年以上見続けてきた。完全独立系ファイナンシャル・プランナーとして個人のコンサルティングを行いながら、さまざまなメディアを通じて情報を発信している。

資産運用は今、大転換の時期を迎えています。

第一の理由は、これまで20年近く続いてきたデフレがついに終焉を迎えつつあることです。経済再生を目指す安倍政権は日銀とともに「物価上昇率2%」を目標に掲げ、デフレ脱却を目指しています。政策はインフレ転換へと大きく舵が切られたのです。

もう一つの理由は、税制の転換です。企業収益も個人所得も伸びずに税収が増えないなか、財政政策は税収をフローからでなくストックから得る方向へとシフトを始めました。これを象徴するのが、2015年1月からスタートする相続税改正です。最も大きな改正点は、非課税枠となる基礎控除額の引き下げ。すなわち、より多くの人に相続税を払ってもらおう、ということにほかなりません。

さらに、景気回復の条件付きではあるものの、消費税は現在の5%から来年4月には8%、15年10月には10%へと二段階で引き上げが予定されています。これも、大きな政策転換の一つといえるでしょう。

こうした大転換期のまっただ中にいる私たちには、資産運用の発想転換が求められているのです。

まず必要なのは、デフレ発想からインフレ発想への転換です。消費者物価指数が対前年比で初めてマイナスになったのはバブル崩壊後の1995年。それから20年近く続いたデフレ経済のなかで、私たちの頭はすっかりデフレ色に染まっています。まずは、それを払拭しなければなりません。

デフレ局面では物価が下がって相対的に貨幣価値が上がるため、お金を現金で持っているだけで価値が上がりました。ほとんど利息が付かなくても、預貯金、個人向け国債といった確定利付き商品で持っていれば得。普通預金やタンス預金でもよかったのです。つまり、これまでは「何もしない人」が“勝ち組”でした。

反対に、投資した人は“負け組”。この間、何度かマーケットが上がっても、ITバブルの崩壊やリーマン・ショックでその都度ハシゴをはずされる、といった繰り返しでした。

インフレになれば、この状況が逆転します。インフレの局面では物価が上がり、相対的に貨幣価値が下がります。つまり、現金や預貯金などを持っているだけでは目減りしてしまう、ということ。資産を守るためにも、投資する必要があるのです。これまで投資経験がない人も、これからは投資にチャレンジしたほうがいいでしょう。

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