「(こちらが正しくて)君がまちがってるんだよ」

加害者:なぜ頭をなでることがおかしなことだと思うの?

子ども:だって、人に触られたくないし……

加害者:ほかの人はそんなこと言わないよ。ほめながら頭をなでるのは普通ふつうのこと。(じょうだん半分で頭を強めにたたく)君がまちがってるんだよ

子ども:でも……(私が気にしすぎているだけなのかな)

頭をなでるのは普通のことなのか

程度の差こそあれ、みなさんも子どものころから人とスキンシップを交わしてきたことでしょう。

海外の人に比べて、日本人はスキンシップが少ない傾向にありますが、それでも、仲良しのしるしとして手をつなぐとか、互いにがんばりをほめたたえるときにあく手をするとか、背中に手を置いて相手をはげますとか、悲しいときにハグし合う、ということがあると思います。

父親や母親と、ということもあるでしょうし、子ども同士でのスキンシップもあります。家族以外の大人と、ということもあるかもしれません。このシーンにある、頭をなでられるというのは、その典型例でしょう。よくがんばった、などの言葉とともに頭をなでられる、という経験をした人は少なくないと思います。

でもこのシーンでは、頭をなでられた女の子がいやがっていますね。人に触られたくないと言っています。男性は、女の子を納得させるべく、頭をなでるのは普通のことだと重ねて伝えています。

いやなことは「いや」と言っていい

さて、ほかの人は受け入れていることだから、よくあることだから、そして、性的部位ではないのだからと、他人に触られることは自然でしょうか。受け入れなければならないでしょうか。他人が触っていいかどうかは、どの部位であっても自分の身体なのですから、自分で決めていいはずです。

そして、いやだという気持ちを言い表すことだって、まったく悪くありません。日本では、女性は受動的であることが、ある程度評価されてしまう面があります。男性は積極的、女性は受動的、または消極的、といったイメージを持っている人が少なくないのではないでしょうか。

これは、ジェンダーステレオタイプと呼ばれる「男らしさ」「女らしさ」という固定観念です。もちろん、少しずつ時代は変わってきていますし、みんなが同じ考えではないと思います。

それでも、社会全体の価値観やイメージは、残念ながらまだまだ変わっていないところがあります。

ですから、特に女性は相手から言われたことを拒否するのはよくないことだと思いこみ、そうすることを難しくしているのではないかと懸念しています。くり返しますが、自分がされていやだと思うことは、相手がだれであろうといやだと言っていいのです。