最もやる気が出るのは、勉強が好きだから、楽しいから

3 課題とスキルのレベルがあっていない。これは、案外見過ごしがちなやる気が起きない理由の一つです。

与えられた課題が難しすぎても、反対にやさしすぎても、やる気は起きません。一番よいのは、ちょっと頑張ったらできそうと思えるレベルの課題に取り組んでいるときです。

サッカーのコーチで、やる気の研究をしている方は、「今できることの10%上を目標にするといい」といっていました。ちょっと頑張ればできそうと思えて、実際にすぐに達成できる目標のほうが、やる気もキープできるそうです。

勉強も同じです。今お子さんがこなしている課題が、難しすぎるかやさしすぎる、いずれかに当てはまるようだったら、課題の見直しを塾に相談してみましょう。

4 自分で決めていないから意味を感じられないは、結構本質的な話です。

お父さんやお母さんからいわれて仕方なくとか、やらないと叱られるからやっている。そんなお子さんは多いのではないでしょうか? これを心理学では、外発的動機といいます。

自分の外側に理由があるので、途中でちょっと大変なことが起きると、途端に自信をなくしたり、おもしろくなくなってやめてしまったりします。

子どもがこの状況に陥ってしまった場合は、受験軸を見直したり、受験そのものを検討し直す必要もあるかもしれませんね。

反対に最もやる気が出るのは、勉強が好きだから、楽しいから。やりたいと思っているから。自分も必要だと思っているから。これを内発的動機といいます。ここまでくれば、一人で勉強を続けられます。でも、これを引き出すのが難しいのもよくわかります。

子どもが塾の宿題をやったとウソをついたときの声かけ

子どもの「やりたい」という気持ちを引き出す親の関わり方として、私がおすすめするのが、次のコミュニケーションです。これは、内発的・外発的動機づけ理論の提唱者でもある、心理学者のエドワード・L・デシが考案したものです。

1 共感・承認(やりたくない気持ちを認める)
2 合理的な理由を説明(なぜそれが大切かを話す)
3 圧力を最小限にする関わり(一部でも選択できるようにする)

まず大切なのは、やる気にならない子どもの気持ちを認めてあげることです。そして、お子さんの気持ちを理解しようと意識して、話を聞いてみてください。

たとえば、子どもが塾の宿題をやったとウソをついていたとします。この場合、まずは「宿題やっていないのに、やったって言っちゃったんだね」と事実をそのまま受け止めてください。そのうえで、「そうしちゃったのはなぜかな?」と聞いてみてはどうでしょうか。

子どもも本当は宿題をやらなくちゃいけないなと思っている。お母さんに怒られるかなと思っている。そんなときに寄り添う言葉をかけられたら、それだけで、受け入れてもらったと感じてうれしくなるでしょう。

焦らず子どもの言葉を繰り返していくと、子どもの心のコップが満たされます。そうしたら、やる気にならない本当の理由や気持ちを話してくれるかもしれません。まずしっかりとお子さんの状況を把握することです。

中曽根陽子『中学受験 親子で勝ちとる最高の合格』(青春出版社)
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状況を把握したうえで、説教ではなく、対話をしましょう。

勉強の進め方や受験への向かい方も、親と子どもで違います。親のやり方を押しつけず、最後は子ども自身が決められるようにできるといいですね。いつどのように勉強するのか、子ども自身が考えられるように、選択肢を提案してみます。

受験勉強の期間中、起きることに対してジャッジをせず、何度でもニュートラルに向き合いましょう。

そんな日々の積み重ねが、最終的にウェルビーイングな受験につながる王道なのです。