日本がデフレから脱却し、金利とインフレ率が上昇する環境下で、株や債券などの伝統資産とは別の新たな資産形成の選択肢として注目を集めるオルタナティブ投資。その中でも世界的な注目を集め、長期の分散投資効果を期待し投資家の資金が流入しているのが企業に直接融資を行うプライベート・クレジットである。昨今、日本においても投資家からの大きな関心を集めており、例えば昨年、大和証券が「ダイワ・ブラックストーン・プライベート・クレジット・ファンド(米ドル建て)」(以下、当ファンド)を設定。6月末時点で976億円(速報値)の資金を個人・法人の投資家から調達した。では、プライベート・クレジットの魅力はどこにあるのか。大和証券プロダクト・ソリューション担当執行役員の中村厳友氏と、ブラックストーン クレジット&インシュランス・グローバル責任者のジル・デラート氏が語ってくれた。

――プライベート・クレジット市場は現在1兆ドル(約161兆円)(※)の規模があり、2028年までに2.8兆ドル(約451兆円)(※)に達する見込みです。資本市場におけるプライベート・クレジットの役割と、市場拡大の背景についてお聞かせください。

Gilles Dellaert(ジル・デラート) ブラックストーン クレジット&インシュランス・グローバル責任者
Gilles Dellaert(ジル・デラート)
ブラックストーン
クレジット&インシュランス・グローバル責任者

【ジル・デラート(以下、デラート)】世界金融危機後、銀行の統廃合や銀行に対する規制強化の流れを受け、プライベート・クレジットが台頭しました。2000年代半ばには約1000億ドル(約16兆円)(※)の市場で、米国の投資適格未満のクレジット市場の8%を占めるに過ぎなかったプライベート・クレジットは、今や1兆ドル(約161兆円)(※)の規模となり市場全体の25%超を占めるまでになりました。加えて、借り手企業は、融資実行に至るまでの確実性、機密性、および構造的な柔軟性等に価値を見いだしています。

プライベート・クレジットは今や、幅広い事業、産業に活用されています。元々は主に中小企業の資金調達手段として活用されることが一般的でしたが、今では規模の大きい事業会社や中小企業、より小規模な企業の資金調達などでも重要な役割を果たすなど、広くプライベート市場にサービスを提供しています。

【中村厳友(以下、中村)】おっしゃる通り、私たち大和証券もプライベート・クレジットの成長を実感しているところです。当社では、個人投資家や法人投資家に向けてリスクとリターンのバランスが取れた多様な投資機会を提供しています。特にプライベート・クレジットは、相対的に低リスクで堅調なリターンを期待できるため、多くの投資家から高い評価を受けています。

成長はまだ初期の段階にある 将来的には25兆ドル(約4027兆円)(※)規模へ

――今後の見通しはいかがでしょうか。

【デラート】1.7兆ドル(約274兆円)(※)に成長したプライベート・クレジット市場ですが、ブラックストーンではまだ初期段階にあると考えており、将来的には直接融資以外の形態も含めて25兆ドル(約4027兆円)(※)の機会が見込まれています。

より多くの市場参加者の間で前述のような特徴が認知される中で、借り手がプライベート・クレジットを通じた資金調達を選択する傾向も継続すると見込んでいます。

加えてプライベート・エクイティ投資会社の待機資金が過去最高水準に達している中で、企業のM&A活動が活発化するにつれて、プライベート・クレジットへの需要が増加すると予想しています。過去12カ月間では一般的に「レバレッジド・バイアウト」と呼ばれる買収ファイナンス全体の約86%がプライベート・クレジットを通じた直接融資による資金調達であり、プライベート・クレジットを通じた資金調達の人気が高まっていることが分かります。

――大和証券としては、どのように受け止めていますか。

【中村】プライベート・アセットのラインアップ拡充は、私たちの企業戦略において非常に重要な位置付けです。特に当ファンドは昨年4月の立ち上げ以来、すでに1000億円近い資金を調達しており、お客さまからの反響も非常にポジティブです。金利が低迷する時代において、安定した収益を追求する投資家のニーズに応えるための新たな資産クラスとして、プライベート・アセットが注目されています。

広範な独自ネットワーク活用でユニークな案件を発掘できる

――投資家にとっては運用会社の選別が一段と重要になりそうですね。融資先企業の特徴など、ブラックストーンの戦略の特徴と強みを教えてください。

【デラート】多くの運用会社がプライベート・クレジット市場に参入していますが、全ての運用会社がこの機会を最大限に生かせる運用経験とプラットフォームを持ち合わせているわけではありません。

ブラックストーンでは、当社の規模、深い専門知識と幅広いクレジット・プラットフォームが当社の独自の強みにつながっていると考えています。当社の有する広範なネットワークと案件発掘能力を生かすことで、優良な大企業への融資を含め、市場機会を見いだすことができる優位な立場にあると考えています。例えば、ブラックストーンの運用する代表的なプライベート・クレジット戦略の融資先企業の平均EBITDA(金利・税金・減価償却費控除前利益)は約2億2500万ドル(約362億円)(※)と、プライベート・クレジットで資金調達を行う企業の平均的な利益水準の約2.5倍です。一般的に大型企業は中小企業と比べて耐久性が高いといわれています。実際に過去のデフォルト率(債務不履行率)を見ても、大型企業は中小型企業の5分の1の水準にとどまっています。

さらに、当社の規模を活用することで単独または主要な貸し手として融資案件を主導することができます。その結果、より良い融資条件とより強固な貸し手の保護が期待できます。つまり、より良い条件で融資契約を締結することで、貸し手側のリスクを抑制する可能性を高める観点で非常に重要です。

ブラックストーン・クレジット&インシュランスが運用するプライベート・クレジット戦略では、案件の80%にて単独または主要な貸し手となることで、交渉と条件を主導しています。

また、ブラックストーンが提供している企業価値向上支援プログラムは、融資先企業にとって貴重な機会となっており、他の貸し手との差別化の要因になっていると考えます。当社の融資先企業の90%超が積極的に活用し、ブラックストーンの知見と融資先企業間のネットワークへのアクセスから恩恵を受けています。

――最後にお二人から、読者に向けてメッセージをお願いします。

中村厳友(なかむら・げんゆう) 大和証券株式会社 執行役員 プロダクト・ソリューション担当
中村厳友(なかむら・げんゆう)
大和証券株式会社 執行役員
プロダクト・ソリューション担当

【中村】お客さまからは、当ファンドについて「市場のボラティリティに影響されにくい安定した投資先」としての評価を頂いており、今後もプライベート資産のさらなるラインアップ拡充を目指していく予定です。これにより、投資家の多様なニーズに応えつつ、持続可能な成長を実現していきたいと考えています。

【デラート】銀行や公開市場による融資からプライベート・クレジットによる資金調達がより多くなるにつれて、運用会社ごとのポートフォリオのパフォーマンスの差が大きくなり、プライベート・クレジット運用会社間の差異につながることが予想されます。ブラックストーンでは、融資先の選定に際し、厳格なアプローチを取り、過去にデフォルト率が低かったセクターにおける大型の優先担保付融資に焦点を当てることで、健全で保守的なポートフォリオを作り上げてきたと自信を持っています。ブラックストーンは北米において金融危機も含めて15年超の直接融資の運用実績を有しております。運用資産残高4000億ドル(約64兆円)(※)超を有する世界最大級のプライベート・クレジット運用会社として、当社のように規模、資金力、そして豊富な運用経験を有する運用会社こそが、今後の市場の変化に立ち向かえる存在となると考えています。

注記:全ての情報は、別段の記載がない限り、2024年6月30日現在の情報。表明された見解は、本資料に記載された日付の時点のみにおけるブラックストーンの最新の見解を反映しています。本資料に記載された見解や意見が実現することを保証するものではありません。掲載された情報のうち、特に市場データ、経済およびその他の予測については、外部の情報源から得たものがあり、ブラックストーンは、これらの情報の正確性を保証するものではありません。
※1ドル=161.07円(2024年6月28日時点で換算)


ダイワ・ワールド・ファンドシリーズ――
ダイワ・ブラックストーン・プライベート・クレジット・ファンド(米ドル建て)

当ファンドは特化型運用を行います。
■投資リスク
●ファンドは、値動きのある有価証券等に投資しますので、基準価額は変動します。したがって、投資元本が保証されているものではなく、これを割り込むことがあります。信託財産に生じた利益および損失は、すべて投資者に帰属します。●投資信託は預貯金とは異なります。●いずれの期間においても、とりわけ短期間でファンドの投資目的が達成される保証はありません。投資者は、ファンドへの投資が利益を生み出す保証はないことを理解する必要があります。投資者は、ファンドへの投資の大部分またはすべてを失う可能性があります。ファンドの投資は、リターンのボラティリティが比較的高くなります。基準価額の主な変動要因については次のとおりです。※変動要因は下記に限定されるものではありません。●投資対象資産に関するリスク(ローンに関するリスク・優先担保付ローンおよび債券に関するリスク)●金利リスク●流動性リスク●為替変動リスク●組入資産の評価に関するリスク●レバレッジに関するリスク●その他(買戻しに関する制限)上記は、ファンドの主な投資リスクを述べたものです。他のリスクを含む詳細は「投資信託説明書(請求目論見書)」をご参照ください。●お申込みにあたっては、販売会社よりお渡しする「投資信託説明書(交付目論見書)」の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
■分配金に関する留意事項
●分配金は、預貯金の利息とは異なり、投資信託の純資産から支払われますので、分配金が支払われると、その金額相当分、基準価額は下がります。●分配金は、分配期間中に発生した収益を超えて支払われる場合があります。その場合、当分配宣言日の基準価額(分配後)は、前回の分配宣言日の基準価額と比べて下落することになります。また、分配金の水準は、必ずしも分配期間におけるファンドの収益率を示すものではありません。分配期間は、分配宣言日の翌日から次回の分配宣言日までの期間をいいます。●投資者のファンドの受益証券の購入価格によっては、分配金の一部ないしすべてが、実質的には元本の一部払戻しに相当する場合があります。ファンドご購入後の運用状況により、分配金額より基準価額の値上がりが小さかった場合も同様です。この場合、当該元本の一部払戻しに相当する部分も分配金として分配課税の対象となります。●分配金額は収益分配方針に基づいて投資運用会社が決定します。あらかじめ一定の額の分配をお約束するものではありません。分配金が支払われない場合もあります。
■ファンドの費用
大和証券でお申込みの場合。当ファンドのご購入時や運用期間中には以下の費用がかかります。(消費税率10%の場合)●お客さまが直接的に負担する費用①購入時手数料:〈料率等〉購入口数に応じて、3.3%(税込)を上限とする率を乗じて得た額〈費用の内容〉購入時の商品説明または商品情報の提供、投資情報の提供、取引執行等の対価です。②換金(買戻し)手数料:ありません。③信託財産留保額:換金(買戻し)時に、評価日の基準価額に0.3%の率を乗じて得た額を、換金する口数に応じてご負担いただきます。●お客さまが信託財産で間接的に負担する費用①管理報酬等:ファンドの資産から支払われる総報酬は、次のとおりです。純資産総額の年率2.665%程度+年間30,000米ドル+投資対象ファンド投資顧問会社の成功報酬(注)(注)管理報酬、受託報酬および管理事務代行報酬に最低報酬金額が設定されているため、純資産総額によっては、上回ることがあります。②その他の費用・手数料:ファンドは、AML業務報酬、弁護士報酬、監査人報酬、印刷費用等の直接の運営のコストおよび費用を負担する場合があります。※「その他の費用・手数料」については、ファンドが負担することにより、投資者の皆さまに間接的にご負担いただくことになります。これらの費用については、運用状況等により変動するため、事前に料率、上限額等を示すことができません。※手数料等の合計額については、保有期間等に応じて異なりますので、表示することができません。これらの詳細につきましては、投資信託説明書(請求目論見書)の該当箇所をご参照ください。※投資対象ファンドには、各四半期において、買戻上限として前四半期末時点の発行済み投資証券口数または純資産総額の5%が定められています。投資対象ファンドを解約できなかった場合等、管理会社がその絶対の裁量により換金(買戻し)の申込みを制限し、または申込みの受付を中止することが賢明であると判断した場合には、管理会社はかかる制限または中止をすることができます。翌四半期以降に解約を行う場合には再度お申込みが必要です。また基準価額の計算が停止されている間は換金(買戻し)は行われません。

■「投資信託説明書(交付目論見書)」のご請求・お申込みは……
〈販売会社〉
商号等 大和証券株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第108号
加入協会 日本証券業協会 一般社団法人日本投資顧問業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 一般社団法人日本STO協会