楽しみだけれど、不安も感じるセカンドライフ。希望ある将来の獲得に向かって、どう考え何を実行すべきか――。生活経済ジャーナリスト、ファイナンシャル・プランナーとして活躍する和泉昭子さんは、「漠然とした不安を具体的なものとするのが第一歩」とアドバイスします。

お金の不安を解消するには
まずキャッシュフロー表を

──いま、40代、50代のビジネスパーソンはどのような不安をもっていると感じますか。

和泉 さまざまな不安要因が複合しているように思います。例えば、体力は減退するのが普通です。また、年収が伸びないなか、出費はふくらむ時期。社会保障の先行きも不透明で、現状ですと1961年4月2日以降生まれの男性は、65歳まで年金が支給されません。やはりセカンドライフの資金が、不安感の大本といえるでしょう。

──そういった不安は、どう解決していけばいいとお考えでしょうか。
和泉昭子●いずみ・あきこ
株式会社プラチナ・コンシェルジュ代表取締役
生活経済ジャーナリスト
ファイナンシャル・プランナーCFP®
NPO法人長寿安心会 副代表理事
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。95年にファイナンシャル・プランナー上級資格を取得し、2007年に会社設立。マネープランとキャリアプランを融合した、総合的なライフプラン構築を提唱する。

和泉 キャッシュフロー表を作り、将来の収支をシミュレーションしてみるのが1つの対策です。記入項目は、まず今後1年ごとのご家族全員の年齢とライフイベント、そして各年のご自身と配偶者の収入見込みです。続いて生活費や住宅費、教育費など支出を書き入れます。クルマの買い替え、介護関連やリフォームの費用なども予測して記入。最後は年ごとの収支と貯蓄残高の算出です。

これを作ってみると、例えばお子さんの大学の費用で貯蓄が大きく減る時期や退職後の貯蓄推移などがおおよそ見えてきます。しかし、キャッシュフロー表は不安を煽る材料ではありません。目的は、漠然とした不安を具体的な課題に変えること。実際、セカンドライフの資金について一般的な話をしても、なかなか皆さんの腹にはストンと落ちません。統計データによる説明では、ピンと来ないのでしょう。まずは、ご自身のケースを数字で確認し、自覚することが重要です。

キャッシュフロー表があれば、ご自分にとって最適な解決策も浮かび上がってきます。支出を見直し生活スタイルを変える、転職を含め収入アップを目指す、積極的に資産を運用する……。将来の予測に縛られることなく、“いま”どうするかを考える道具として活用するのがキャッシュフロー表の賢い使い方。仮に資産を数%で運用できれば、10年後、20年後の状況は大きく変わってきます。表をエクセルなどで作っておけば、いろいろと条件を変更しながら、多様な対応策を検討できるでしょう。