資産運用熱が高まる中、かつてない金融商品としてSBI証券の「SBIラップ」が注目を集めている。2022年度ファンドラップ・ロボアド契約増加件数No.1を誇り、その勢いはとどまるところを知らない。富裕層向けのサービスというファンドラップのイメージを一変させたこの商品の特徴と魅力、そして今後の展望を、SBI証券 デジタルプラットフォーム事業本部 デジタル営業部 主任の清水俊太氏をはじめとする“生みの親”に聞いた。

毎月1000円から積み立て可能、従来のファンドラップのイメージを一新

デフレからインフレに転換しつつある日本。一方で金利はゼロに近い状態が続いており、資産を目減りさせないためには資産運用が必要だが、投資経験や金融知識に自信のない場合は、リスクを考えるとなかなか踏み出せないのが実情だろう。

そんな中で好評を博しているのが、SBI証券のファンドラップ「SBIラップ」だ。

ファンドラップは投資運用業者が顧客に代わって資産運用を行うサービスだ。投資運用業者は顧客から預かった資産をもとに、国内外の株式や債券などに投資する複数の投資信託を組み合わせて運用を行う。運用状況の定期報告や、資産配分の見直し(リバランス)も行われる。

ただメガバンクや大手証券会社が扱っている従来のファンドラップは、最低投資金額を1000万円以上に設定しているケースも多く、富裕層向けのサービスというイメージが強かった。もっと手軽にファンドラップを利用したい――。そんなニーズに応える形で「SBIラップ」は登場した。同社デジタルプラットフォーム事業本部デジタル営業部主任の清水俊太氏はサービスの特徴をこう語る。

「『SBIラップ』は、幅広い方にご利用いただけるよう、最低投資金額を1万円に設定しました。毎月1000円から積立も可能です。まとまった資金のない資産形成層にも手軽にご利用いただけます」

清水俊太(しみず・しゅんた)
SBI証券 デジタルプラットフォーム事業本部 デジタル営業部 主任

「SBIラップ」は、運用手法にも特徴がある。従来のファンドラップは、契約の段階で投資家のリスク許容度や運用の目的などに応じて資産配分を決める。たとえば、株式6割、債券4割といった形だ。運用開始後の価格変動によって資産配分が変われば、リバランスをして元の資産配分に戻してくれる。これは長く利用されているベーシックな運用手法だが、AIなどが活躍する現在は少し古めかしくも感じる。

「『SBIラップ』には、『AI投資コース(通称 AIラップ)』と『匠の運用コース(通称 匠ラップ)』の2つのコースがあり、先進的な技術を活用した運用をご利用いただけます」(清水氏)。

約1000の特徴量を分析、運用シミュレーションからみるAI投資の可能性

「AI投資コース」は、SBI証券とロボットアドバイザー(以下、ロボアド)の資産運用サービスを手掛けるFOLIOが共同して開発したものだ。これまでにもファンドラップのコース選択のサポートとしてAIを活用するロボアドはあったが、実際の運用過程にAIを活用したサービスはほとんどない。「AI投資コース」の開発に携わったFOLIO 執行役員 プラットフォーム事業部長の尾上隆行氏は「運用面でAIを大いに活用した他に例のないサービスです」と説明する。

先行きが不透明な中で投資判断をするには、さまざまなデータの分析が必要になる。それを人手に頼るのは限界がある。「AI投資コース」では、先行性の高いマーケットデータや日々のマーケットの変化など約1000種類の特徴量を多角的に分析し、AIが将来の相場の動きを予測している。

AIは冷静な判断ができるのも大きなメリットだ。人間の判断には、どうしても感情や思い込みが入り込む余地ができてしまう。「AI投資コース」では、AI技術と伝統的な金融工学理論を活用し、「人」が介在しない判断を可能にした。また、市場の変動要因や傾向をAIが機械学習し、予測モデルを継続的に改善している。

実際にどの程度の成果が期待できるか。「AI投資コース」は2022年3月にリリースされて間もないため、同じ手法で運用されているFOLIOの「ROBOPRO」を参考にすると、2020年1月15日のサービス開始から2023年12月末までの実績は、約60.49%のプラスであった(※1)。「ROBOPRO」は金融庁が公表した2022年末までのロボアド過去3年のパフォーマンスNO.1にも輝いている(※2)。また、「AI投資コース」の運用戦略に基づいて投資を行っていたと仮定し、過去のデータを検証すると、過去10年間のパフォーマンスは約200%のプラスとなっていて、投資資産が3倍になるというシミュレーション結果であった(※3)。同条件で比較した一般的なロボアドの場合は、10年間で2倍にしかならないことを考えると、シミュレーション結果からは優位性が期待される。

※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
※1 算出根拠等はFOLIOのウェブサイトをご参照ください。
※2 金融庁「資産運用業高度化プログレスレポート2023」別添資料より主な投資一任型ロボアド5社比較(2022年末時点)。
※3 シミュレーション結果はSBIラップのウェブサイト「バックテストが示すAI投資の可能性」をご参照ください。

「独自の資産配分」と「アクティブファンド」を掛け算。シミュレーションでは10年で約2.5倍となったパフォーマンスに期待(※4)

一方の「匠の運用コース」は、SBI証券と野村アセットマネジメントが協力して開発、FOLIOが運用を行う。野村アセットマネジメント プロダクト・マネジメント部チームリーダーの神田涼氏はその特徴をこう説明する。

「資産配分の決定には、当社が独自に開発した『オールウェザー・ファクターアロケーション戦略』の考えを活用し、厳選したアクティブファンドへの投資を通じて、投資環境に左右されにくい安定した収益の獲得を目指します」

「独自の資産配分」と「アクティブファンド」の掛け算でプラスアルファの運用成果を狙っていくわけだ。一般論として、優秀な運用成績が今後も期待できるアクティブファンドを個人投資家が選ぶのは困難であるといわれるが、たとえば日本株では日経平均株価や東証株価指数TOPIXに連動を目指すインデックスファンドよりもはるかに高いパフォーマンスを出すアクティブファンドはいくつも存在し、そういった運用戦略で資産成長を目指したいものだ。野村アセットマネジメントでは、運用成績が良好な9つのアクティブファンドを厳選。「匠の運用コース」向けだからこそ可能なコスト水準で提供されているそれらの中には、限られたお客さまのみしかアクセスできなかった運用戦略も含まれる。

また、「匠の運用コース」の資産配分の決定に活用している投資戦略(オールウェザー・ファクターアロケーション戦略)は、香港の「アジア・アセット・マネジメント」誌で「2021ベスト・オブ・ザ・ベスト・アワード」最優秀賞を受賞している。日本だけではなく、アジアでも認められているわけだ。

※4 シミュレーションの詳細は、SBIラップのウェブサイト「シミュレーションの前提条件について」をご参照ください。

各コースのサービス概要比較表。「AI投資コース」と「匠の運用コース」を比べることによって、その独自性豊かな商品の特徴と強みがよりわかりやすく理解できる。

AIと投資のプロが火花を散らす! 2つのコースの併せ持ちで運用パフォーマンスがさらに向上

「SBIラップ」は、大胆な投資配分の切り替えも大きな特徴となっている。

「標準的なファンドラップの資産配分の見直しは、年に1回~数回程度であるのが一般的です。一方で『SBIラップ』では『AI投資コース』『匠の運用コース』ともに毎月資産配分の見直しを行います。『AI投資コース』に使われているAIは1カ月後という比較的短期的な投資対象の値動きを予測しています。AIがマーケットの予測を大胆に変えることもあるので結果として投資配分が大胆に切り替わることがあります。『匠の運用コース』は定量定性の両面から景気サイクルを判断し、足元の市場環境に応じた臨機応変な資産配分と、ファクターアプローチを使って市場の変動要因に着目したリスク調整により、市場環境と市場の変動要因の変化をいち早くポートフォリオに取り入れています」(清水氏)

これにより、マーケットの情報をいち早く投資配分に反映できる。その結果、標準的なファンドラップに比べて、機動的な運用戦略を取ることが可能になるという。

では「SBIラップ」はどのような人に向いているのだろうか。

「どちらのコースも市場環境を予測し『守り』と『攻め』の両方の運用を目指せることが特徴です。資産運用にあまり時間をかけられない方や自分で運用するのは難しいと感じている方に向いているサービスだと考えています」(清水氏)

金融のプロに資産運用を任せることができて、自動的に資産配分の見直しも行ってくれるので、忙しい人でも手軽に資産運用が可能になるわけだ。では、2つのコースはどう使い分けるのがいいか。

「実は多くのお客さまが両方のコースを併せてご利用いただいています。2つのコースでアロケーションの手法が異なるので、両方のコースを均等に保有すると運用パフォーマンスがさらに向上することも試算で確認できています」(清水氏)

2つのコースを併せ持つ投資家の中には、資産運用をエンターテインメントとして楽しんでいる人も多いという。「匠の運用コース」がリリースされた2023年7月以降の運用実績を見ると、2つの運用コースの成績は拮抗きっこうしている。

「特に2023年10月以降の成績は2つのコースが勝ったり負けたり、デッドヒートを繰り広げています。お客さまは『AI対運用のプロ』という両者の戦いを楽しんでくださっているようです。強い相手と戦って自分も強くなっていくアニメの主人公のように、その展開を楽しまれているのかもしれません。2つのコースの運用成績を、都度SNSで公開して閲覧者とともに楽しまれているお客さまもいます」(清水氏)

「投資は難しい」とのイメージが強いがエンターテインメント的な要素があれば、楽しみながら資産運用を学ぶこともできそうだ。

「『SBIラップ』は、その運用成績や運用方針を毎月一般公開しており、透明性も高いサービスです。毎月のリバランス結果を見て、ご自身の資産運用の参考にされているお客さまもいらっしゃいます。資産形成をプロに一任したい方だけではなく、ご自身で積極的に投資を行いたい方にもご満足いただける商品だと考えています」(清水氏)

現在は2つの運用コースのみだが、すでに第3弾、第4弾も検討中という。

「現状の2つのコースとは全く戦略が異なる運用コースを検討しています。投資はパフォーマンスがすべてです。パフォーマンスでお客さまに満足いただき、そのうえでさらに投資を楽しんでいただけるような商品をリリースしていきたいと考えます」(清水氏)

「SBIラップ」という1つのサービスで、今以上にさまざまな運用戦略を利用し資産運用を楽しむ環境が整う日は近い。

【SBIラップのリスクについて】
SBIラップは、ラップ専用の投資信託(以下、「投資対象ファンド」と表示)への投資により運用を行いますので、次のような原因で運用資産の時価評価額は大きく変動する可能性があります。したがって、お客さまの投資元本は保証されているものではなく、これを割り込むことがあります。
・投資対象ファンドは、金利水準、株式相場、不動産相場、商品(コモディティ)相場等の変動による組入れ有価証券の値動き及び為替相場変動等に伴い、基準価額が変動します。これらの要因により投資対象ファンドの基準価額が下落し、損失が生じるおそれがあります。
・投資対象ファンドに実質的に組み込まれた株式や債券等の発行者の倒産や信用状況等の悪化により投資対象ファンドの基準価額が下落し、損失が生じるおそれがあります。

【SBIラップ AI投資コースの費用について】
投資一任手数料 運用資産額(現金部分を除く)に対して0.660%(年率/税込)
投資対象ファンドの信託報酬(X)(※) 信託財産に対して0.1606%(年率/税込)
投資対象ファンドを通じて投資するETFの経費率(Y)(※) 銘柄毎に異なり、0.030%~0.490%(年率)の範囲内に収まります。
その他の費用 信託財産にかかる監査報酬、信託事務の処理に要する諸費用、法定書類(目論見書、運用報告書等)の作成等にかかる費用、組入有価証券の売買の際に発生する売買委託手数料、外貨建資産の保管に要する費用等の費用は、原則としてお客さまの負担とし、信託財産の中から支払われます。これらの費用は、運用状況等によって変動するため、事前に具体的な金額や上限額等を示すことはできません。

※ご負担いただく利用料等およびリスク情報につきましては、契約締結前交付書面、投資対象ファンドの交付目論見書等をご確認ください。
※実質的な信託報酬(X+Y)は、投資対象ファンド毎に異なります。そのため、実質的な信託報酬の合計額は、8種類の投資対象ファンドの組み入れ状況によって変動しますが、最新の運用戦略を用いて運用を行った場合、その合計額は0.218%~0.394%(年率/税込)の範囲内に収まります。この値は目安であり投資対象資産の投資状況等により変動し、また投資対象ファンドの変動等により今後変更となる場合があります。

【SBIラップ 匠の運用コースの費用について】
投資一任手数料 運用資産額(現金部分を除く)に対して0.770%(年率/税込)
投資対象ファンドの信託報酬 銘柄毎に異なり、信託財産に対して0.374%~1.078%(年率/税込)の範囲内に収まります。
投資対象ファンドの信託財産留保額 最大で信託財産の0.3%
詳しくは、投資対象ファンドの投資信託説明書(交付目論見書)をご確認ください。
その他の費用 信託財産にかかる監査報酬、信託事務の処理に要する諸費用、法定書類(目論見書、運用報告書等)の作成等にかかる費用、組入有価証券の売買の際に発生する売買委託手数料、外貨建資産の保管に要する費用等は、原則としてお客さまの負担とし、信託財産の中から支払われます。これらの費用は、運用状況等によって変動するため、事前に具体的な金額や上限額等を示すことはできません。

※ご負担いただく利用料等およびリスク情報につきましては、契約締結前交付書面、投資対象ファンドの交付目論見書等をご確認ください。
※実質的な信託報酬は、投資対象ファンド毎に異なります。そのため、実質的な信託報酬の合計額は、9種類の投資対象ファンドの組み入れ状況によって変動しますが、最新の運用戦略を用いて運用を行った場合、その合計額は0.591%~0.791%(年率/税込)の範囲内に収まります。この値は目安であり投資対象資産の投資状況等により変動し、また投資対象ファンドの変動等により今後変更となる場合があります。

商号等:株式会社SBI証券 金融商品取引業者、商品先物取引業者
登録番号:関東財務局長(金商)第44号
加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本STO協会、日本商品先物取引協会