経営課題が複雑化する今、企業が変革を実現するに当たって専門的なノウハウや技術を持つ人材の重要性が高まっている。そうした中、「新しいコンサルティングサービスの活用法」を提案し、注目を集めているのが2021年に設立したLASINVAだ。大手コンサルティングファームを経て同社を起業した中川浩幸社長に、事業方針や今後のビジョンを聞いた。

「こんな使い方もあるんだ」と顧客企業からの声

――ビジネスを取り巻く環境が激しく変化する今、企業はどのような課題を抱えていると感じますか。

【中川】例えば、「業務プロセスを刷新したい、新規事業を立ち上げたいと思っても、いざ実行するとなると、デジタル技術の進化のスピードの速さもあり、自社のリソースだけでは対応できない。とはいえ予算や案件の規模の関係で、大手のコンサルティングファームに依頼するのは難しい」。かつて私自身が大手に在籍していたときにも、そうした声をよく聞きました。それが、LASINVAを立ち上げた理由の一つでもあります。

中川浩幸（なかがわ・ひろゆき）
株式会社LASINVA
代表取締役社長
大阪大学を卒業し、住友商事に入社。その後、ボストン コンサルティング グループにて主に金融業界のクライアントを担当し、中期経営計画策定・実行支援、新規事業開発、全社デジタル改革などの経営コンサルティング業務に従事。フリーコンサルタントを経て、2021年にLASINVAを創業。

――LASINVAによるサービスの特徴はどんなところにありますか。

【中川】初期は複数名体制ではなく、必要最小限のコンサルタントを議論段階から活用いただき、案件の規模が拡大すれば柔軟に人数を増やすことも可能です。そのため、結果的にリーズナブルな費用に収まります。また、当社のコンサルタントとフリーコンサルタントを組み合わせてサービス提供できるのも私たちの特徴で、お客さまが求めるスキルや技術を的確にご提供します。働き方の多様化が進む現在、大手のファームやSIerに在籍していた方が独立するケースも増え、優秀なフリーランスが多く誕生している。当社はそうした人材と積極的に連携し、質の高い支援体制を構築しています。

――実際のサービス提供に当たっては、何を重視していますか。

【中川】「現場ドリブン」と「伴走型」、この二つを強く意識しています。イノベーションの実現には経営陣の意志も重要ですが、現場が動かなければ具体的な変化は起こらない。トップダウンの戦略だけでは物事は進行しません。そこで私たちは、例えば役員中心の戦略討議に加えて部課長層を巻き込んだ打ち合わせで具体アクションに落としたり、あるAI関連製品の企画支援プロジェクトでは企画のみならず営業や展示会出展までご支援したり、現場に徹底的に入り込んだサポートを行っています。コンサルティングにおいて“社員代替”という言葉はネガティブに捉えられることもありますが、私たちはむしろ、社員と同じ気持ち、オーナーシップを持つことを大事にしています。

一方で、プロジェクトを推進するには客観的な視点も重要です。企業内では部署間の衝突などもありますから、そうした場面では第三者として潤滑油となることも心掛けています。

――顧客企業からはどのような声が聞かれますか。

【中川】ある大企業のお客さまからは「これまでのコンサルティング活用は戦略や構想の立案に限定されていたが、現場の業務フローや簡易ツールにまで落とし込まれ、具体的な行動変容につながった」、またある大手SIerさまからは「SIとの組み合わせで新たなサービス提供の形が見えた。社内で横展開してきたい」といった声を頂きました。当社は基本的に一定の成果が出た後、仕組みやノウハウを引き継ぎ、お客さま自身で取り組みを継続できるようにしています。そうした点も含めて「こんなコンサルティングの使い方もあるんだ」と評価を頂くことが少なくありません。

挑戦を楽しむ社風の下自社で事業創造も推進

――LASINVAは独立系としてゼロから創業したそうですが、現在では大手のファームやSIer出身者も多数在籍していると聞いています。これまで、人材はどのようにして集まってきたのでしょうか。

【中川】「伴走型のクライアントワーク」という方針に共感して入社するメンバーがやはり多いです。また、大手を飛び出して新たなチャレンジをしたいというマインドを皆が持っている。その点、大手ファームのスピンアウトではないため、特定の色が付いていないところも好まれているように感じます。

――今後の抱負を聞かせてください。

【中川】当社の社名には、「コンサルティング」や「パートナーズ」という言葉をあえて入れていません。コンサルティング事業はLASINVAの核に違いありませんが、そこで得た知見や経験、資金を活用して、自らも事業を起こし、社会に価値を還元していきたいと考えているからです。実際、フリーコンサルタント関連のプロダクト開発がすでに進行中です。また、地方創生支援や学生関連の取り組みもスタートしています。

当社には、掲げる価値観の一つである「ワクワクする夢を持ち、挑戦し続ける」に共感したメンバーが多く集まっており、各人が主体的かつ積極的に新たな事業創出や社会貢献に取り組んでいます。今後は、そういった自社ビジネスの経験を逆にコンサルティング事業にも生かす形で、好循環を生み出していくことを目標としています。

――最後に、LASINVAのサービスに興味を持つ企業にメッセージをお願いします。

【中川】従来のコンサルティングファームの手法にとらわれることなく、柔軟かつリーズナブルなサービスを提供したい、これまでにないコンサルティングサービスの活用法を提案したいというのが私たちの考えです。「こんなことを相談してもいいのだろうか」「何から手を付けていいか分からない」「予算をあまりかけられない」。そうしたお客さまも、ぜひ気軽にご相談ください。課題の発見から現場の変革まで、それぞれのニーズに合わせてサポートいたします。