EDによる不妊も解決へ
迷わず受診することが第一

小谷先生のもとには、20~30代前半の患者が訪れることもあるという。

「不妊の約5%は、EDが理由なのです。しかし若年層のEDに多く見られる心因性に対しても、PDE5阻害剤は有効。私の診察経験のなかでは、薬を使う前に依存性などの不安を訴える方もいましたが、通常その心配はありません。PDE5阻害剤のおかげでセックスがうまくいったり、ひとたび子宝に恵まれたりすれば、心因性EDを克服できることも珍しくない。また、この薬による胎児への影響などもありません」

中高年世代にとっては、薬を継続使用するうちに効果が弱まり、服用量を増やす必要が出てくるのではないか、という点も気がかりだろう。しかし、「耐性も見られない」と小谷先生はいう。

ただ、例えば合併している糖尿病の悪化に伴って、EDも悪化するといったケースは考えられる。その結果として、PDE5阻害剤の必要量は増えるかもしれない。こうしたことからも、ED以外の生活習慣病を早く発見し、治療を受けることの重要性は大きい。

「もう一つ、PDE5阻害剤のなかには、全身の血管内皮によい効果をもたらす種類もあることが注目されます。動脈硬化とは、いわば煙突に“スス”がたまったような状態ですが、それを掃除してくれるのです。当然ながら生活習慣の改善も必須条件としたうえで、PDE5阻害剤の定期的な服用は、EDの改善とともに全身的なアンチエイジングに貢献するという面でも期待されています」

思わぬ可能性の広がりを秘めたPDE5阻害剤だが、いま少なくともEDに悩んでいるのなら、迷うことなく医師に相談を。そう小谷先生は強調する。

「まだまだ『EDは加齢現象で、病気ではない』と考えている方々も少なくありません。繰り返しますが、特に中高年のEDの多くは、れっきとした生活習慣病なのです。気後れは無用。気軽に受診してほしいと思います」