「お客様・株主・従業員・社会」への責任を高い次元で果たし、4者の満足度を高める──。日本たばこ産業(JT)の揺るがぬ土台である「4Sモデル」を出発点に、2030年、2050年をターゲットとする挑戦が進行中だ。同社が描く「心豊かな社会」を、どう実現しようとしているのか。サステナビリティマネジメント部・太田壮雄さんが答えてくれた。

外部環境の変化に伴い責任は増している

――取り組みの状況はいかがでしょうか。

日本たばこ産業株式会社 サステナビリティマネジメント部 課長代理 太田壮雄さん

【太田】JTグループの根幹をなすのは「お客様を中心として、株主、従業員、社会の4者の満足度を高めていく」という「4Sモデル」の追求です。この経営理念が根付く当社には、各事業部、一人一人の社員がサステナビリティをしっかりと受け止め、取り組みを実践できる土台が築かれていると思いますし、私が所属するサステナビリティマネジメント部にも、「JTグループの目標を達成するためにはどう行動したらいいのか」「社会にもっと貢献するには何が必要か」といった社内からの相談がたびたび寄せられます。このような課題解決への意識が取り組みにつながり、外部からの評価、例えば、国際的なESG株価指数「Dow Jones Sustainability Asia Pacific Index」の構成銘柄に9年連続で選定されたことや、気候変動への対応と戦略に優れた企業として4年連続で国際NGO・CDPの最高評価「Aリスト」に選定されたことに結び付いていると思います。

――環境問題への対策のポイントは。

【太田】自然と人との共存なくして、持続可能な事業活動は成り立ちません。環境負荷の低減を経営における重要課題の一つに位置付け、2019年公表の「JTグループ環境計画2030」では、再生可能エネルギーの利用推進、温室効果ガス(GHG)排出量削減、水使用量削減、森林資源の循環、廃棄物削減を重点分野に設定しました。それぞれの数値目標の達成に向け、チャレンジを加速させています。2022年にはエネルギー・温室効果ガスに係る目標をより野心的なものに更新し、2030年までのカーボンニュートラル達成、そして2050年までのバリューチェーン全体でのネットゼロ達成を目指しています。なお、2030年までの目標は国際的なイニシアチブであるSBTi(Science Based Targets initiative)の考え方に基づいたもので、SBT認定を取得済みです。

これまで行ってきた省エネ施策を継続して推進するとともに、再生可能エネルギーの導入拡大に資するあらゆる可能性を模索しながら、打ち手の具体化を進めているところです。例えば、東南アジア最大規模の太陽光パネルを導入したバタンガス工場(フィリピン)のように、再生可能エネルギー活用の拠点をさらに増やすべく、候補地の調査に当たっています。また、グリーン電力証書・熱証書の購入に加えて、非化石証書の購入も推進する計画です。

シャッターを切る瞬間は、きっと豊かな心で満たされている

――環境フォト・コンテストの募集テーマは「共存」です。

【太田】皆さんそれぞれに、「共存」に対する価値観、イメージをお持ちかと思います。優秀賞、佳作をはじめ、寄せられた作品にはさまざまな「共存」の在り方が示されており、私たちもその意味を改めて考えさせられる機会となりました。最終審査会では優秀賞受賞者と直接お会いして、地球環境や写真にかける情熱、当社の募集テーマである「共存」に対して抱いた思いなどを聞き、とても有意義な時間を過ごすことができました。「まさか私が選ばれるとは」と驚かれた様子ながらも、一緒に来場したご家族と共に喜び、うれしそうな表情を見せてくださったのが印象的でした。

2023年優秀賞「コンニチワ‼」林 良子さん
2023年佳作1「白鳥さんと話をしたよ」竹下 朗さん
2023年佳作2「新旧」井上ひかりさん

優秀賞作品「コンニチワ‼」のような光景を「いいな」と感じてシャッターを切るとき、きっと心の中には豊かさがあふれているのではないでしょうか。当社がこれまでずっと大切に守り、またこれからさらに強く打ち出していくメッセージも、「JT Group Purpose」に掲げるとおり「心の豊かさを、もっと。」です。ここで働く私自身も共感できるキーワードですし、当社が世の中から求められているものの本質こそ「豊かさ」ではないかと思います。

環境を含むサステナビリティへの取り組みは、当社グループの長期的な事業成長、そして社会が持続的に存続・発展していくために不可欠です。それらを着実に前進させることが、よりサステナブルな製品を求めるお客さまの要望にお応えすることになり、企業活動と環境の調和の実現につながると信じています。