「森づくりの30年」が今の活動を支えている
――主な活動について教えてください。
【宮崎】「人々の生活の安定と向上に寄与する」を経営基本理念として、「全ての人々への安心の提供」「健康長寿社会づくりの牽引」「持続性のある社会づくりへの貢献」という当社の社会的役割を、さらに発揮していきたいと考えています。環境問題については、このかけがえのない地球環境を次世代へと継承できるよう、「気候変動問題」「プラスチック問題」「生物多様性」の3分野への対応を軸に取り組んでいます。温室効果ガス排出量の「2050年度ネットゼロ」を目標に、営業活動における自動車・燃料使用に伴うCO2排出抑制に向けたEV車・PHV車への順次入れ替え、ZEB(年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの建築物)を見据えた先進建築物「ZEB Ready」水準での営業拠点の建て替え、一部ビルへのグリーン電力の導入、「プラスチッククリアファイルゼロ」などを目指す「ニッセイ Plastics Smart運動」などを展開しています。目に見えない保険商品を扱う私たちにとって、お客さまとの接点の中でこうした具体的な工夫を凝らしていくのは大切なことだと思っています。
1992年より公益財団法人ニッセイ緑の財団とともに森づくりを続け、これまでに植えた苗木は138万本超です。この「ニッセイの森」は全国207カ所(2023年3月末時点)にまで拡大しており、そのうち約6割は保安林や自然公園などに指定されています。森は30年で一つの周期を迎えます。活動初期に植えた苗はいまや立派な森の木々となり、間伐材を活用できるまでに成長しました。当社の職員たちもボランティア活動の一環として、植樹・育樹活動に携わっています。コロナ禍でなかなか現地に足を運ぶことができなかった期間にも、例えば募金などで森づくりを支えたいという声が上がるなど、私たちにとって本当に大切な存在です。現在の日本生命の環境取組のベースは、やはりこの「30年」の積み上げがあってこそつくられたのだと思います。
――機関投資家としてはどのようなアプローチを。
【宮崎】資産運用領域では、運用収益向上と持続可能な社会の実現の両立を目指すESG投融資を推進し、保険金・給付金や、ご契約者配当の安定的なお支払いにつなげています。また、社会全体での2050年ネットゼロ達成に向けて、グリーン・ファイナンスに加えて、温室効果ガスを多く排出する企業が着実に脱炭素化へと移行する「トランジション」、CO2の回収・貯留技術などの技術革新である「イノベーション」、こうした領域への投融資を対象とする脱炭素ファイナンス枠を設定しています。温室効果ガス排出量の多いおよそ70社とは、2050年ネットゼロに向けた削減ロードマップの策定・開示の要望、排出量削減の進捗の確認など、気候変動を主要テーマとする丁寧な対話を進めています。生命保険という長期の資金特性を生かし、長期的に投融資先企業の取り組みを後押しすることで、ともに排出量ネットゼロへ歩みたいと考えています。
「たくましく生きる力」が2年連続グランプリに輝く
――環境フォト・コンテスト2022、2023で、連続してグランプリを受賞。
【宮崎】当社の募集テーマ「たくましく生きる力」に寄せられた写真からあふれ出す自然の美しさ、人間や動植物の生命力に触れ、私たちも生きる活力を得ました。環境フォト・コンテスト2023のグランプリ作品「巣作り」は、尊い命をつなぎ、育もうとするコウノトリの姿が感動的です。2羽の姿から、助け合いの精神、共存共栄の重要性が浮かび上がります。
投票に参加した職員から「生命の営みを強く感じる」「種の保存への危機感、命の尊さを感じた」といった声が上がったように、一枚の写真が意識や行動を変えるきっかけになるかもしれません。一人一人の思いが環境フォト・コンテストを通じて結び付き、より大きな動きとなっていくことを期待しています。
――先行き不透明な時代といわれる中で、貴社への期待も高まっていると思います。
【宮崎】解決すべき社会課題、世の中の価値観、ニーズなどがめまぐるしく変わっています。どのような状況下においても、お客さまと社会の「今日」に寄り添い、今日よりもっと良い未来をお届けするのが当社の使命です。お客さまと社会をつなぎ、安心・安全で持続可能な社会のために、企業メッセージ「今日と未来を、つなぐ。」を体現していきたいと思っています。